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[MOM1573]帝京大可児MF鈴木健斗(3年)_小さい頃から憧れてきたチーム救う延長V弾

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[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[11.3 全国高校選手権岐阜県予選準々決勝 大垣工高 2-3(延長)帝京大可児高 各務原スポーツ広場]

 取って取られての打ち合いとなった試合。そんな展開に終止符を打ったのが、帝京大可児高MF鈴木健斗(3年)だ。延長前半3分、右サイドから送り込まれたグラウンダーのクロスに対して「とにかくゴールを決めたかった。それまでゴール前に人数を掛けれていなかったので、迷わず入っていきました」と二アサイドに走りこんでシュートを決めてみせた。今大会、帝京大可児は2回戦で19点を叩きだすなど高い得点力を発揮しており、鈴木も何度かネットを揺らしているが、それらは勝敗を決する上で重要なゴールではなかった。「今日のゴールが一番価値のある、うれしいゴールです」。

 この試合は中盤の右サイドで先発したが、帝京大可児は相手のプレッシャーの前に思うような攻撃を仕掛けられずにいた。鈴木自身も、なかなか見せ場を作れずに80分間の前後半を終えている。延長戦に入る前に意識したのはFWとの関係だ。「それまではFWが孤立していた。延長ではなるべくFWに近い位置でプレーしようと思っていた」。普段はFW奥崎寛史(2年)にボールが収まることで攻撃が始まるが、この日はなかなか起点を作ることができなかった。奥崎と交代で後半途中からピッチに立ったFW土屋希成(3年)はスピードが持ち味で、裏を狙わせることで相手の最終ラインを押し下げようとしたが、それも機能したとはいい難い。そんな状況だったからこそ、前線に厚みをもたらすことで奪うことのできた決勝点は価値あるものだった。延長戦では、後半途中から中盤左サイドに投入された玉木優也(3年)とポジションを入れ替えて、鈴木が左サイドに入っているが、それも決勝点の呼び水となっている。

 1年生から出場機会をつかんでいる鈴木にとって、帝京大可児は憧れの存在だった。岐阜県可児市出身で、小さい頃から地元にある高校の試合を見て「自分もあのチームでプレーしたい」と思うようになったという。小学校でチームメイトだった友達2人と一緒に帝京大可児中に入学。中学校でもチームはポゼッションスタイルを掲げており、言わば帝京大可児スタイルの中高一貫教育を受けてきた選手だ。そうした選手は鈴木以外にも多く、その一人であるMF吉澤奨(3年)は「中学では(ボールをつなぐ意識が)もっと徹底されていた。パスをつなぐためにやるべきことはわかっている。そこに高校から入ってきた選手がアクセントになっているんです」と話している。鈴木も「下(地上)から組み立てながら、味方や敵の状況を見極めて崩していきたい」とポゼッションへのこだわりは強い。好きな選手を尋ねるとスペイン代表MFサンティ・カソルラ(アーセナル)という答えが返ってきた。「攻撃を組み立てる中でパスをさばいたり、キープしたり。その中で得点に絡んでいきたい」と理想像を語っている。

 準決勝の相手は県1部リーグで首位を走る中京高。帝京大可児はプリンスリーグ東海に参戦しており、また新人戦や総体予選でも対戦しなかったために、今季初めて公式戦で顔をあわせる相手だ。「詳しいことは知らないけれど、強いと聞いている。そこを叩いて決勝へ行きたい」。まずは次の試合――地に足がついた言葉だが、目指しているのはその先の決勝戦、そして全国の舞台だ。そこに挑む彼の姿は、かつて自身が幼い頃に憧れた選手たちと同じもの。「(憧れていたチームの)レギュラーになれるとは思ってなかったんですけどね」。少し恥ずかしそうに笑う表情からは、充実感が漂っていた。

(取材・文 雨堤俊祐)
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