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[Jユースカップ]逆転、逆転の大熱戦はPK戦で決着!名古屋U18がF東京U-18退けて決勝進出!!

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[11.7 Jユースカップ準決勝 名古屋U18 3-3(PK4-2)F東京U-18 味スタ西]

 11月7日、2015Jユースカップ 第23回Jリーグユース選手権大会準決勝が味の素スタジアム西競技場にて開催され、15日の決勝(長居)に進む2チームが決定した。第1試合では名古屋グランパスU18がFC東京U-18と対戦。夏の再戦となった試合は予想以上の大熱戦の末、PK戦で名古屋に軍配が上がることとなった。

 夏の日本クラブユースサッカー選手権(U-18)大会ではラウンド16にて実現したこのカード。そのときは名古屋がF東京に5-1と完勝を収めている。若き青赤軍団にしてみれば、準決勝の大一番ということに加えて屈辱的大敗に対するリベンジマッチという意味付けもあった。「FC東京の気持ちがすごくて、本当に激しく戦ってきた」(名古屋FW森晃太)のも当然だろう。

 立ち上がりから激しいつばぜり合いを繰り返すような展開の中、前半9分に最初のゴールが生まれる。決めたのは、F東京。FW大熊健太のCKからDF柳貴博が見事にヘッドで叩き込む。だが、名古屋も負けてはいない。25分、MF川崎健太郎の縦パスを横方向の移動でCBの前に入ったMF柴田駿が触って、エースの森へ。森のシュートはF東京GK山口康平がなんとか防ぐも、こぼれ球をMF深堀隼平が蹴り込んで同点に追い付いてみせた。さらに後半7分には、相手のバックパスを奪ったFW北野晴矢のパスを受けた森がドリブルで持ち込み、最後は切り返しから巧みにシュートコースを作っての右足シュートを突き刺し、ついに逆転に成功する。

 なんとも苦しい状況に陥ったF東京。ポゼッションしながら時計の針が進むばかりで、なかなか相手を崩し切れない時間が続く。だが、「今大会のウチはタダじゃあ負けない。粘り強い、魂のこもった試合をしてきたし、今日もそうだった」と佐藤一樹監督。「この大会に懸ける思いをみんなが持っていたし、(名古屋には)夏に負けているということもあった。いいテンションでやれていた」(同監督)。あまり高さのない名古屋守備陣の特徴を考えても、パワープレーをしかけたくなるシチュエーションではあったが、佐藤監督は「今大会はしっかりしたパスワークを続けることで点を取れていた。(パワープレーは)選択肢にあったが、あえて変えない選択肢を選んだ」と選手たちの技量と魂を信じた。

 そして迎えたアディショナルタイム。MF小山拓哉のフィードを左サイドで受けたのはFW佐藤亮。「すっかり頼もしい選手になった」と指揮官から全幅の信頼を寄せられる10番が選んだのはドリブル勝負からのシュートチャレンジ。迷いなきエースの選択が見事に実って、F東京が土壇場で試合を振り出しに戻す。さらに延長前半1分には、大熊のパスから交代出場のMF相原克哉が右足シュートを突き刺し、再逆転にまで成功した。

 名古屋からすると、「エンジンがもう一度温まる前にやられた」(高田監督)痛恨の展開。この事態に高田監督が打った手は左SBの吹ヶ徳喜を前線に上げるという「やったことはない」(同監督)博打的な采配である。スピードとパワーを兼ね備える選手だけに、「FWとしてやれるだけの“モノ”はあると思っていた」という確信があっての用兵だ。そしてこの策が延長後半開始早々の1分に実る。起点はキックオフで戻されたボールを前線へ蹴り込んだ1本のロングボール。これに吹ヶがヘッドで競り勝つと、交代出場のMF杉田将宏がワンタッチで落として、最後はまたもエース森。胸トラップからの右足シュートを突き刺して、名古屋がまたしても追い付いてみせた。

 そして決着はPK戦に委ねられる。ここで見せたのは名古屋GK加藤大智。「お前のためのPKだ!」と指揮官から煽られた守護神は、F東京の3、4番手を連続セーブ。一方、名古屋は4人全員が成功し、3-3からのPK戦4-2というスコアで熱闘に幕が下りることとなった。

 敗れたF東京のDF渡辺拓也は「最後までみんなで走り切ったし、やることをやり切ったし、まったく悔いはない」と胸を張った。「気持ちの入ったゲームをできたし、名古屋は前の選手が本当に強い選手ばかりで大変だったけれど、でも本当に楽しかった」と涙のあとが残った顔に笑顔を浮かべた。一方、「悔しい」と率直に漏らした柳は「名古屋は一人ひとりが1対1のところで勝負できる選手ばかりで、個が強かった。関東にはないスタイルのサッカーだった」としたうえで、「森くんはあそこを決めてくる。本当にさすがでした」と脱帽。その上で「これからやらなくちゃいけないことがいっぱいある」と課題を噛み締めた。

 勝った名古屋は、いよいよ栄冠を射程に収めた。高田監督は「リーグ戦はこれから残留争いなんだけどね」と笑いつつ、「ファイナルという最高の緊張感を経験できるのは選手たちにとって大きい。最後においしいところで一泡吹かせたいね」と言って、決勝へと気持ちを切り替えていた。

(取材・文 川端暁彦)
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