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[MOM1590]京都橘MF輪木豪太(1年)_4戦連発!“切り札”が好勝負に決着つける一撃

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[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[11.7 全国高校選手権京都府予選準決勝 久御山高 3-4 京都橘高 西京極]

京都を代表する選手たちが顔をそろえた一戦で試合を決めたのは、急成長中の1年生アタッカーだった。

 3-3のスコアで迎えた後半34分。京都橘高MF輪木豪太(1年)はハーフウェーライン付近での相手のパスに対して、自陣へ戻りながら猛然とスライディングしてボールを奪うと、今度は敵陣へ向かってドリブルを開始。相手の寄せをスピードで振り切り、PA付近まで持ち込んで右足からミドルシュートを放った。彼の右にはFW岩崎悠人(2年)がフリーでいたが「悠人くんへのパスは相手DFも意識していた。周りから“豪太、いけ!”という声も聞こえていたので、ファーサイドを狙って打ちました」と説明。シュートは相手DFの足に当たってコースが変わり、GKの頭上を越えてゴールネットに吸い込まれていった。

 ゴールの瞬間は「“入ったー!!”と思いました。こんな大舞台で点を決めたのは初めて。どこに向かって走ればいいのかわからなくて…とりあえずベンチへ走りました(笑)」とあどけない笑顔を見せている。その先で、感情を爆発させている選手やコーチングスタッフにもみくちゃにされた輪木。大一番で大仕事をやってのけたが、実は今大会、毎試合得点をあげているのだ。初戦となった3回戦・鳥羽高戦では交代出場からダメ押し点目をゲット。続く4回戦・京都両洋戦でも交代出場からゴールを決めると、準々決勝・大谷戦ではスタメン出場を果たしている。この試合ではスーパーサブとして「あえてベンチに置いた」(米澤監督)。敵味方の運動量が落ちてくる状況で、切り札として投入のタイミングをうかがっていたのだ。輪木は「うちがカウンターを仕掛けるとき、久御山のボランチがあまり戻っていなかった。そこはチャンスになるなと思っていました」と指揮官の意図を汲み取ってピッチに立ち、前述したゴールを決めている。

 今季の京都橘は1年生からトップチームで出場機会をつかむ選手が多い。輪木もプレミアリーグWESTのデビューは4月26日の第3節・神戸U-18戦と早かったが、活躍する場面はそれほどなかった。ターニングポイントとなったのは総体予選後の夏だ。8月中旬には国体近畿ブロック大会の少年男子の部に滋賀県として参加。右サイドのアタッカーとして攻撃を牽引し、京都府との試合では京都橘で左SBのレギュラーの座をつかんでいるDF河合航希(1年)とマッチアップする中で突破力を披露し、得点を演出するなど持ち味を発揮している。さらにチームの夏の遠征では米澤監督の「上級生に混ざってでやるより、同学年だけの中で関係を築き上げた方がいい」という判断により1年生チームの一員としてトレーニングや練習試合を行っている。トップチームでは先輩たちへの遠慮もあるが、同じ1年生の中に入ればプレーや振る舞いも、いい意味で変わってくる。輪木も「1年生チームの中で自信をつけることができた」と手応えを感じていた。秋以降はトップチームでも存在感を高め、U-18日本代表で不在となる岩崎に代わってスタメンを任される試合も出てきた。そうした状況で選手権予選を迎えているだけに、活躍は自然な流れといえるのかもしれない。

 滋賀県出身。中学時代はMIOびわこ滋賀U-15でプレーした。県内の高校への進学も考えたが、京都橘の練習に参加した時の雰囲気に引かれて入学を決めた。近年の躍進、それに伴う責任感は入学後に肌で感じており「去年も京都橘の試合を見に行ったけれど、先輩たちはすごかった。その歴史を止めないようにしたい」と話す。普段はあまり緊張しないタイプにも関わらず、準決勝では投入直後は身体が思うように動かなかったという。時間の経過と共に試合へ適応していき、決めてみせたゴールは「これまでのサッカー人生で一番うれしかった」ゴールだ。成長を遂げるチームの中で、輪木もまた右肩上がりの成長を見せている。

(取材・文 雨堤俊祐)

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