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[選手権予選]不満の内容も守備崩れず3戦連続無失点、神村学園が2年ぶりの全国王手:鹿児島

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[11.13 全国高校選手権鹿児島県予選準決勝 出水中央高 0-1 神村学園高 鴨池]

 第94回全国高校サッカー選手権鹿児島県予選は13日、準決勝を行った。出水中央高神村学園高との一戦は1年生FW高橋大悟の決勝ゴールによって神村学園が1-0で勝利。神村学園は2年ぶりの全国大会出場を懸けて14日の決勝で鹿児島城西高と戦う。

 本来の姿ではなかった。それでも決勝進出の権利は離さなかった。この日の神村学園は主将の中島宏大(3年)が「自分たちのサッカーがあまりできなかった。選手権ということもありますし、緊張からかいつもの自分たちではなかったですね」と振り返る内容。5バック気味に戦う出水中央のサイドにはスペースができていたが、運動量、連動性も欠いてそこを効果的に突く攻撃をすることができなかった。有村圭一郎監督が「もうちょっと面白いんですけどね。中盤の選手たちが絡んでいけば。もうちょっとテクニックもあるし、前に入っていくスピードもある」と評するように、プリンスリーグ九州でリーグ2位の40得点(15試合)を叩き出している攻撃力を持つチームだが、雨中の80分間となったこの日は我慢の戦いになってしまった。

 出水中央は球際強くショートカウンターからFW益留直之(3年)やFW町田直隆(1年)がダイナミックな仕掛けを見せる。だが、本来CBで今大会準々決勝から1ボランチを務める中島や神村学園中時代からコンビを組む西元耀星(2年)、則松圭吾(2年)の両CBを中心とした神村学園の守りを破ることができない。前半のシュートはDF磯脇一輝(3年)が得意の無回転FKで狙った1本のみ。一方の神村学園はリスクを回避していた感もあった立ち上がりから、トップ下のエースMF橘田健人(2年)が低い位置へ下りてボールを引き出したことで徐々にボールの動きがよくなった。そして高橋のミドルシュートなどで相手ゴールを脅かす回数を増やしていく。

 迎えた32分、神村学園は右サイドでDF2人を引きつけた高橋が後方から猛然と駆け上がってきたSB七呂拓実(2年)へ足裏パス。これで一気にDFラインを突破した七呂が強烈な右足シュートを打ち込むと、GKが弾いたボールを高橋が冷静に左足で流し込んで神村学園が先制した。

 中島や西元が相手の縦パスを弾き続ける神村学園は、「(攻撃の狙いとして)ボク達が今までしてきたのは相手が嫌がるプレー。相手の嫌がるプレーをしたらボク達のプレーもできる」と語るFW國場龍之介(3年)や、絶妙なタッチのボールコントロールで攻撃の起点になる高橋を中心に足裏パスでの巧みなスイッチや、力強く背後を狙う動きなど「相手の嫌がる」プレーで2点目を狙う。だが、チャンスをつくるものの、出水中央のGK岸本翔平(3年)やDF陣の好守によって2点目を奪うことができない。逆に1点差のまま食い下がった出水中央が見せ場をつくる。32分、縦パス一本で相手の背後を取り、交代出場のFWキム・サイジュン(1年)が決定的な右足シュート。チームの後半初シュートとなった一撃はGKの横を抜けたが、枠を捉えることができず。抜群の攻撃力を持つ一方で有村監督が「必ず1、2点取られるチーム」という脆さもあったという神村学園だが、「どこのポジションで出ても変わらない。どこででてもチームためにやるだけ。チームのためにどれだけ自分を犠牲にできるか。チームのためにどれだけ走れるか」という中島のボランチ起用もハマって完封勝利。今大会4試合でわずか1失点と安定感を増してきている守備が攻撃面をカバーして決勝進出を決めた。

 14日には昨年の決勝で敗れている鹿児島城西と決勝で再び戦う。國場が「去年の決勝でも城西に負けているので、ここで何が何でも勝ってリベンジしたい」と誓い、橘田は「去年はチームとしても、個人としても何もできないで負けてしまったので、チームの良さを出しながら、自分もゴールに関われるようなプレーをして、全国に行って全国で神村のサッカーを見せたいです」と力を込める。神村学園は2年前の選手権予選で優勝したのを最後に、昨年、今年と無冠。選手権出場という夢に加えて、今回こそ神村のサッカーで鹿児島を制し、全国で戦いたいという思いがある。中島は「応援団とかメンバーに入っていない人が盛り上げてくれて非常にいい雰囲気で来ている。メンバーに入っていない人の分までピッチに立っている11人がチームの為に戦わないといけない」。全員で戦い抜いて、今年は必ず全国舞台に立つ。

(取材・文 吉田太郎)

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