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[MOM1594]中京大中京MF石川将暉(3年)_“熱い男”がチームを全国へ導くゴール

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[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[11.14 全国高校選手権愛知県予選決勝 中京大中京高 2-1 岡崎城西高 パロマ瑞穂スタジアム]

 キャプテンマークを巻き、最後の最後まで声と気迫溢れるドリブルで、チームを牽引し続けた。

「僕は上手くないので、その分、フィジカルと気持ちで負けたら話にならない。泥臭いプレーを率先してやることこそ、自分の使命だと思っている」。

 その言葉通り、中京大中京高MF石川将暉は前線で身体を張ってボールをキープしたり、多少寄せられても強引にフィジカルとスピードを駆使して、ドリブルでどんどん運んでいくプレーを見せた。

 特に後半に入ってからの気迫とプレーは凄まじかった。10分にはドリブルから強烈なミドルシュート。11分にはドリブルでバイタルエリアまで持ち込み、相手DFを引きつけて、フリーのMF福山大貴にラストパス。いずれもゴールには至らなかったが、彼の馬力あるプレーは岡崎城西に大きな脅威を与えていた。

 そして、1-1で迎えた後半39分、自陣でボールを受けると、相手DF2人を引き連れながら、強引にドリブル。約20mの重戦車の様なドリブルから、再び並走していた福山にラストパス。福山の仕掛けは相手DFにクリアされるも、これで得た左CKに反応したのは石川だった。ニアサイドでヘッドで合わせると、ボールはゴール左隅に吸い込まれた。

 全力疾走で仲間が待つバックスタンドに駆け寄り、大きくジャンプしてガッツポーズ。たちまち彼を中心に赤い輪が広がった。彼の気迫の一撃がチームに勝利をもたらした。

「みんなのおかげ。特に両親、兄、家族には本当に感謝している」。

 熱い男が、試合後も熱い言葉を続けた。彼には2つ上の兄・大貴がおり、小さい頃から兄、父親とサッカーボールを蹴っていた。その兄は中学時代にメニコンカップでMVPに輝き、名古屋グランパスU15からU18に進み、今は早稲田大学でプレーをしている。

「兄に引っ張って来てもらった。でもいつかは抜かしたいと思っていた。そのためには兄と同じ道を進んでいたらダメだと思っていたので、中京大中京に来ました。親も毎日のように早起きして、僕に合わせてくれるし…。絶対にここ(中京大中京)で頑張らないといけないと思っていました。本当にここに来てよかった」。

 サッカーの喜びと目標を与えてくれた兄をリスペクトし、自宅のある豊橋市から学校がある名古屋市内まで、片道1時間半かかる中、自宅から車で30分かかる豊橋駅まで毎日送り迎えをしてくれる両親の支えに大きな恩義を感じている。だからこそ、彼は献身的かつ情熱的に、最後まで集中を切らすこと無く、チームを牽引することが出来た。

「家族に自分の成長を見せられたと思います。でも、まだ通過点。全国ではもっと成長した姿を見せたい」。1か月半後の選手権では、もっと逞しくなった姿を見せるべく。もう一度自分に気合いを入れ直し、持ち前の気迫と情熱を燃え上がらせ、来たるべき本番に向けてまっすぐに突き進む。

(取材・文 安藤隆人)

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