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[MOM1596]大津MF河田健太郎(3年)_県駅伝大会で証明したずば抜けた走力、決勝で3得点

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[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[11.14 全国高校選手権熊本県予選決勝 大津高 7-4 東海大熊本星翔高 水前寺]

 本格的に陸上競技をやっていなくても、「陸上部並みに速い」というサッカー部員は全国各地にいるかもしれない。だが、「県のトップレベル選手並み」となるとそれは間違いなく稀有。J内定2選手を擁し、全国トップレベルの実力、選手層を持つ大津高には高い技術を備え、走りのスペシャリストでもある選手がいる。それは3年生MFの河田健太郎だ。この日は平岡和徳総監督もマン・オブ・ザ・マッチと認める活躍で熊本ファイナルのピッチを駆け抜けた。

 県大会初戦以来となる先発を務めた河田は0-1の前半10分、左サイドのMF杉山直宏が出したラストパスに2列目から飛び込んで1タッチでゴールへ沈めると、15分、19分にはいずれも左CKからキッカーのMF河原創の好キックと相手のミスもあって連続ゴール。「どうにかしてチームに貢献したいというのがあったので、得点で貢献できたので良かったです」と振り返ったMFはシャドーの位置から繰り返しスペースへ飛び出してチャンスに絡むと、後半11分にはコンビネーションから左サイドを抜け出し、正確なラストパスで杉山のゴールをアシストした。

 チームの大量得点に貢献したが、4失点していることもあって満足感はなかった。「得点はできたんですけど、その他は改善することがまだたくさんあるので、明日からまた改善していきたいと思います。自分ではそこまで満足はしていないので、日本一取るまでもっと努力して、チーム内でも相手にも負けないようにしていきたいです。攻撃も守備も両方出来てチームに必要とされる選手になりたい」。まだ“無駄”に走り過ぎている部分があって、それをチームメートから指摘されることも。決勝で3得点を記録したが、試合後には自らを引き締める言葉を並べていた。

 河原が初戦以降先発から外れていたのにはひとつ理由がある。それは昨年に続く全国高校駅伝県予選出場だ。昨年、大津の選手として3区(8107.5m)を走り、区間2位の快走を見せている河田は今年も準々決勝前日の10月31日に行われた県駅伝大会に出場。1区10kmで一緒に走ったのは熊本を代表する長距離選手たちで、各校エースが集う区間だった。駅伝県大会直前も普段通りに月曜日から金曜日までサッカー部のトレーニングを続けた河田はほぼぶっつけ本番での走りだったが、終盤まで先頭争いを演じたというから驚きだ。結果は勝負どころで突き放されて区間7位に終わったが、本格的に陸上競技をやっている選手を含めても県トップレベルの走力があることを証明。すべてがサッカーに繋がるわけではないが、間違いなく貴重な経験でもあり、本人も「長所という部分はもっと伸ばしたいと思う。上には上がいると実感したのでそれは伸ばしていきたい。最後離されたんで最後のもうひと踏ん張りが必要」とこの学びを今後に活かすことを誓った。

 県駅伝大会を経験してまた戻ってきたサッカーのピッチ。決勝でその走力をまた示したMFは全国大会へ向けて「運動量を活かして得点に絡んで、守備でもハードワークして絶対に日本一を取りたいです」と意気込みを口にした。全国でも稀なストロングポイントを持つ河田が大津にとって初の日本一を勝ち取るために走り続ける。

[写真]前半10分、大津MF河田が右足で同点ゴール

(取材・文 吉田太郎)

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