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[MOM1597]四日市中央工FW小林颯(3年)_2列目の点取り屋が全国導く2発

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[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[11.14 全国高校選手権三重県予選決勝 四日市中央工高4-2海星高 三重交通グラウンドスポーツの杜鈴鹿]

 今季苦しんできた2列目の点取り屋、小林颯が火を噴いた。「モチベーションも高かったし、昨日の夜からいい感じだった」というフィーリングどおり、立ち上がりからアクティブな動き出しで攻撃を活性化。右サイドから中央へと入り込んでいく得意の形で、四日市中央工高の2点目と結果的に決勝点となる3点目を奪い取った。

 樋口士郎監督は「(小林は)サイドハーフですが、中へ入っていってバイタルエリア(主に相手CBとボランチの間)を使えるのが良い部分。今日はそういう個性を出してくれたと思う」と振り返り、小林本人も「今年から右(サイドハーフ)に入るようになっているけれど、右から中に入っていくのは得意な形。右利きですけど、シュートも左足のほうがいいのが蹴れるんです」と手ごたえを話すパフォーマンス。逆足シュートがよく枠にいく不思議な個性を活かしつつ、いずれも右から中へと入っていく形でゴールを重ねた。

 4-2-3-1のトップ下でプレーすることの多かった小林を、今年は右サイドに置く形へ変更することとなった。「360度の視野を求められる位置だとヘッドダウンしてしまうことが多かったので、視野を限定した位置からスタートさせたほうが颯の個性が生きると思えてきた。そのほうがシュートもあるし、スルーパスも出しやすい」(樋口監督)というコンバート。まず前を向けるというサイドハーフのメリットを生かしつつ、ピッチを躍動した。

 小林のサイド起用に関してネックになるとすると守備面になるのだが、その心配もどうやら杞憂だ。「今日の颯は本当に守備で頑張ってくれた。素晴らしかった」と樋口監督が相好を崩したように、劣勢の時間帯になった後半になっても守備の強度を落とさずに奮闘。決してディフェンスが得意な選手ではないが、サボるようなことはなかった。「全国に行って、強い相手になればなるほど颯の個性は生きるし、必要にもなってくる」と指揮官は爆発への期待を隠さない。

「今年はずっと調子が悪くて、メンタルが削れてくるときでも、みんなが励ましてくれた。応援してくれる人がたくさんいるし、今日も苦しいときは応援してくれている人たちのことを考えた」と小林は言う。その恩返しのためにできることは一つだけ。部の悲願である単独での全国制覇を果たすべく、小林擁する四中工が2年ぶりの選手権に乗り込む。

(取材・文 川端暁彦)

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