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遠藤保仁著『白紙からの選択』_第3回「基本、何も考えてません」

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 MF遠藤保仁(G大阪)の最新刊『白紙からの選択』(12月12日発売、講談社刊)の発売を記念し、ゲキサカで始まった短期集中連載。書籍の一部を抜粋して、水曜日の朝に、お届けしていく。

 第3回は、遠藤がプレーの参考にしたという意外なストライカーの名前が明らかになる。


基本、
何も考えてません。


「プレー中に何を考えているのか」とよく聞かれるんですが、たぶん、何も考えてません。1秒後にはすべての状況が変わってしまうのがサッカーなので、いちいち考えていられないというか、考えているけど考えてないというか……、うーん、説明するのが難しいですね。

 ただ、自分の動きや頭の中にあるイメージを相手に読まれないために、テレビには映らないところで細かいフェイントを繰り返しています。もし相手に考えていることや動きを読まれていないとしたら、何も考えていないからではなく、そのおかげでしょうね。トラップする瞬間に体の向きを少しだけ変えたり、パスをする直前に足の角度を変えたり、走る方向やスピードを細かく変化させたり……。ちなみにそれ、ロナウドから学んだんですよ。レアル・マドリードのクリスティアーノ・ロナウドじゃなく、元ブラジル代表のロナウドのほう。元祖「怪物」ですよね。

 2006年のドイツワールドカップでブラジルと対戦した時、僕は出場してませんけど、ロナウドのマークに付いた坪井(慶介)が言ってたんですよ。「頭がめっちゃ疲れる」って。

 ロナウドはほとんど走らない。1試合で5キロとか6キロとか、たったそれだけ。普通の選手は10キロくらい、多いと12キロという選手もいるので、それと比べたら半分しか走っていないことになる。だから、体力的なことだけ言えばマークするのはそれほど苦じゃないと思うんですけど、ロナウドはほとんど同じ場所にいるのに、細かいフェイントの数がすごいんですって。

 マークするほうはずっと集中して見ていないといけないから、体じゃなくて頭が疲れる。目線だけのフェイントとか、体の力の入れ方のフェイントとか、もっと言えば雰囲気のフェイントとか。坪井からその話を聞いて、「なるほど」と思ったんですよね。だから、誰も気づかないようなところで細かいフェイントはたくさん入れています。サッカーはダマし合いなんでね。


<書籍概要>
■書名:白紙からの選択
■著者:遠藤保仁
■発行日:2015年12月12日(土)
■版型:四六判・200ページ
■価格:1200円(税別)
■発行元:講談社
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▼これまでの作品は、コチラ!!
○第2回(11月18日公開)「14本のクラブを使い分けるように一本の足を使いこなしたい」

○第1回(11月11日公開)「代表選手は中途半端な気持ちであの舞台に立ってはいけない」

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