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“結果にこだわる男”浦和MF関根「タイトル獲得が僕たちの使命」

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 昨季、下部組織からトップチームに昇格した浦和レッズMF関根貴大は初年度から出場機会をつかむと、試合の流れを変えるジョーカーとして存在感を示し、2年目を迎えた今季は完全にレギュラーに定着した。先発の座をつかんだからこそ、新たな経験を積んでいる20歳のアタッカーが、チームでのタイトル獲得、そして来年開催される五輪への思いを語った。

守備で得た達成感に
「これもサッカーなんだ」


――プロ2年目を迎えた今季は完全に浦和のレギュラーに定着しました。ルーキーだった1年前、今の姿を想像できましたか。
「正直、今年は新加入の選手が多かったので、ベンチに入れるかなという不安もありました。だから、自分の中ではちょっと予想外だったという気持ちもありますが、試合に出て結果を残す自信は持っていました。去年もそうでしたが、試合に出て経験を積めることは自分の中でも大きなことですし、今年はスタメンで試合に出ることで新たな経験ができています。U-22代表候補に行っても感じたのですが、チームで結果を残していくことが何よりも大事なことなんだと、改めて強く感じています」

――レギュラーとしてプレーすることで、ご自身の中にどのような変化があったのでしょう。
「攻撃の部分では、ただドリブルを仕掛けるだけでは逆にチームに迷惑を掛けてしまうと感じましたし、90分間を通して試合を組み立てていく中での判断力が徐々についてきたというのは大きいですね。守備面でも粘り強くチーム全体として守り切る試合を経験できました。正直、僕の今までのサッカー人生の中で、守備で達成感を得ることはあまりなかったことです。ワイドの選手には最終ラインまで戻って守備をすることが求められますし、体を張ってゴールを守り切るという達成感を味わえたことで、『これもサッカーなんだ』という試合を経験できたのは僕自身にとって本当に大きなことだと思います」

――去年は1年目ということもあり、持ち味を発揮できる攻撃面で貢献しようという思いが強かったと思います。
「去年の僕はベンチスタートで流れを変えることが役割でしたし、自分のところから崩していくことが毎試合求められていましたからね。ドリブル突破は自分の特長なので、そこは今年も出していかないといけないと思っていますが、今年はドリブルだけでなく、去年とはまったく違う役割を任せられていると感じています」

――ドリブルだけでなく、プレーの幅が広がっているということでしょうか。
「チームメイトとの関係性だったり、3人目の動きだったり、今はスムーズに連係がとれていますし、清水戦のゴール(第2ステージ第11節○4-1。後半10分にMF梅崎司のサイドチェンジを関根がダイレクトで折り返し、ゴール前に走り込んだFW興梠慎三が蹴り込んだ)なんかは練習でやってきたことが、そのまま出せたきれいなゴールだったので、ああいうプレーを増やせていければプレーの幅も広がると思います。あとはカットインからのシュートや、その流れからの崩しというのは自分の中でまだまだ物足りなさを感じているので、さらにそこを成長させることができれば、もう一つ上のステージに行けるのかなとは感じていますね」

――以前は左足の精度を上げたいと話していました。
「今年は左足でドリブルする回数が増えてきていますし、左足を使うことによってリズムを変えたりできているので、ドリブルの幅は広がっていると思います。ただ、もっと精度を上げれば相手はすごく守りづらくなると思うので、左足をそん色なく使えるようになれば自分の大きな武器になるはずです」

――ただ、相手の警戒も相当強まってきていると思います。
「フロンターレ戦(第2ステージ第16節△1-1)では僕にボールが入った瞬間に縦と横から相手が2枚来ているのを感じましたが、相手の分析を上回るプレーを見せないといけないですね。そこは毎試合、自分の中でも課題になっているのですが、ドリブルがダメでも相手を抜き切らずにアーリークロスを上げるとか他の選択肢があるので、ドリブル以外のプレーで状況を打開できればいいと思っています。ただ、試合の流れの中で絶対に自分が良い状況でボールを受けられるときはあるので、そこでリスクを冒してでもドリブルを仕掛けて相手をいかに抜けるかという部分にはこだわっていきたいです」

――試合に出続けることで生まれた新たな目標はありますか。
「より結果にこだわるようになりましたね。試合に出てチームのためにゴールを取ったり、アシストを記録することが大事なので、試合に出るだけでは満足していません。FC東京戦(第2ステージ第15節)でゴールを決めましたが、12試合ぶりのゴールだったこともあり、ゴールを取る難しさを改めて感じました。でも、コンスタントに結果を残せるようになればさらに成長できると思うし、そうならなければいけないと思っているので、現状に満足せずに向上心を持ってやり続けます」

――第2ステージも残り1節(11月22日神戸戦)となりました。
「まずは神戸戦に集中したいですし、しっかりと勝って、良い形でチャンピオンシップに向かっていきたいですね。チャンピオンシップはトーナメントになるので、本当に我慢強く、バランスを崩さずに自分たちのサッカー、これまでミシャ(ペトロヴィッチ)監督がやってきたサッカーを貫き通すことが大事だと思います」

――下部組織で育った関根選手にとって、浦和のユニフォームを着て年間チャンピオンになるのは特別な思いがあると思います。
「僕にとっても特別なことですが、レッズはそうならないといけないクラブで、一つでも多くのタイトルを取ることが僕たちの使命だと思います。ただ、自分にプレッシャーを与えながらも、サッカーを楽しむ気持ちは忘れずにやっていきたいですね」

個の部分は見てもらえている
意識的にチームメイトを活かした


――10月にはU-22日本代表候補に初めて招集されました。手倉森ジャパンを肌で感じてみて、いかがでしたか。
「U-22代表でプレーするのはイメージの中でしかなかったのですが、実際に呼ばれて求められていることを感じ、チームの雰囲気を経験できたこと、味わえたことは自分の中でもプラスだと思います。このチームに選ばれて、(来年1月に開催されるリオ五輪アジア)最終予選をともに戦いたいという強い気持ちを新たに持てました」

――手倉森(誠)監督からどういう部分を求められていると感じましたか。
「浦和で求められていることと、代表で求められてくることは別だと思いました。秋葉(忠宏)コーチと話をしたときに、僕は浦和でサイドに張っていることが多いので、中に入ったときにどれだけプレーできるかのイメージが湧かないのだと感じました。自分自身としては元々は中でプレーしていたので違和感なくできると思っていたので、中でのプレーを意識しました」

――練習試合では中央で巧みにポジションを取ってボールを呼び込み、パスをさばいて攻撃にリズムを生み出したことを手倉森監督も「発見」と話していました。
「中でプレーできるかどうかが引っかかっていると思ったので、ほとんどワイドに張ってプレーしませんでした。個の部分はレッズで見てもらえていると思うので、サイドバックが良いタイミングで上がってきたときは、スペースを生むように中にポジションを取って攻め上がりやすいようにするなど、チームメイトを活かすプレーをかなり意識しました」

――サイドアタッカーというイメージがついていると感じますが、中でのプレーにも手応えはあったようですね。
「プロになってからはあまり中ではプレーしていなかったので、ある程度、中で自由にプレーできるのはすごく新鮮でした。改めてそういうプレーも楽しいと思えましたし、自分の中でも手応えを感じられましたね。サイドアタッカーというイメージはあるとは思いますが、僕は前目のポジションだったらどこでもやりたいと思っていますし、やれる自信があります。ワイドでも中でもトップ下でも…、1トップは厳しいですけどね(笑)。ただ2トップだったらやれると思うし、プレーの幅を広げるためにもいろいろなポジションを経験してみたい気持ちはあります」

――今後、U-22代表に生き残るために、どういうプレーを見せていきたいですか。
「他の選手との違いをある程度は自分の中で見せられたと思いますし、チームメイトにも自分のプレーを知ってもらえたと思いますが、今回の合宿ではゴールやアシストなどの結果を残せなかったので悔しい気持ちがあります。生き残っていくためには中でのプレーを見せながら、ゴール前に顔を出す回数を増やし、決定的なシーンに絡み、やっぱり結果を残すことが大事だと思います」

――アジア最終予選まで2か月を切りました。最後にリオ五輪に向けての意気込みをお願いします。
「日本は5大会連続で五輪に出場しているので、その記録を僕たちが切らせてはいけないと思います。本大会に行けるかどうかで、この世代の経験値は大きく変わってくると思うし、日本サッカーを底上げしていくためにも僕たちが成長していかなければいけません。だからこそ、最終予選はしっかり結果にこだわってやりたいし、僕自身はこの世代と同じ目標に向かって戦うためにも、レッズで結果を残せるように頑張っていきます」

(取材・文 折戸岳彦)

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