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明治大DF山越、右膝負傷も乗り越え大宮入団…背景にスカウトとの絆も

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 明治大のDF山越康平(4年=矢板中央高)は来季の大宮アルディージャ入団を内定させた。右膝半月板損傷による手術を乗り越えて、手にしたJリーガーという夢。その背景にはスカウトとの間に生まれた絆があった。

 今季の明治大において、守備の要として期待を寄せられていた山越だが、開幕戦・順天堂大戦(3-2)の直後に右膝を負傷。半月板損傷で手術を受けると、長期離脱が続き、目標としていたユニバーシアード日本代表も辞退した。

 大学4年生の春に負った大怪我。本来ならば進路への不安もよぎるであろう状況だったが、「不安はなかった」と山越は言う。J1やJ2の複数クラブから注目が集まる中、大宮からは「怪我をしても取る」とはっきり言われていたからだった。大宮の西脇徹也スカウトは「彼にとって初めての大きな怪我だったけれど、それを乗り越えた選手は強くなるから」と説明する。

 リハビリの日々について、山越は「いつも試合に出てきましたけど、出ていないと補助学生や応援、担架係などの裏方の仕事をして。今までは当たり前に試合をしていたけれど、そういう人もいて自分がプレーできるというありがたみを感じた」と振り返る。

 この様子を見ていた西脇スカウトは「彼の場合は大学に入って、4年間ずっと試合に出てきたけれど。ここへ来て出ていない選手の気持ちもわかるようになり、色々といい経験をしているなというのがあった。怪我しようがなんだろうがうちの力になる」と確信。早くも6月24日に山越の大宮内定は正式に発表された。

 故障中だった山越の獲得を目指した西脇スカウトは、明治大の練習や試合へ足を運び、たくさんの言葉を交わしたという。時には他愛もない話をしながら、怪我の状況やリハビリ中の思いなど、山越と多くの時間を共有した。そんな毎日が重なり、山越は「話す中で熱意を感じて、そういう人がいるクラブでプレーしたいな」と感じ、大宮入団を決めたのだ。

「最終的にうちに決めてくれて良かったけれど、他のクラブに行ったとしても頑張って欲しいというのが、ずっと見てきたスカウトとしての、僕個人としての考えがあった」と西脇氏は明かす。

 大宮入りを内定させ、故障からの復帰を遂げた山越は、明治大の後期リーグ躍進に大きく貢献。今季のリーグ戦で一時は7戦勝ちなし(3分4敗)で8位まで順位を落としていた明治大だが、山越が戻ってくると9戦負けなし(8勝1分)で一気に2位まで浮上。準優勝でリーグ戦を締めくくった。

 今後は12月8日から全日本大学選手権(インカレ)が控えている。まずは「インカレで優勝を目指したい」と誓ったMFは、その先も見据え「来季はレギュラーとして活躍したい」とJリーガーとして迎える2016シーズンへ思いを馳せた。

(取材・文 片岡涼)

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