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[プレミアリーグWEST]降格危機の名古屋U18が11発快勝。土壇場でのプレミア残留を掴む

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[12.6 高円宮杯プレミアリーグWEST第18節 京都橘高 0-11 名古屋U18 西京極]

 高校年代最高峰のリーグ戦、高円宮杯U-18サッカーリーグ2015 プレミアリーグWEST第18節が6日に行われ、最下位・京都橘高(京都)と名古屋グランパスU18(愛知)が対戦した。開始1分のMF田中彰馬の得点を皮切りに、11得点を奪った名古屋が11-0で勝利。この結果、履正社高(大阪)と勝ち点21で並んだ名古屋U18が得失点差で上回り、8位に浮上し、プレミアリーグ残留を手にした。

「“冬のテツ”って呼ばれているだけに、何としてでも残留しないとね」。そう名古屋の高田哲也監督が不敵な笑みを浮かべたのは、今から2週間前に行われた第16節の履正社戦後。宣言通り、怒涛のゴールラッシュによって、プレミア残留を手にした。

「始まる前からサイドを攻略しようと、今週ずっと練習していた」とDF吹ヶ徳喜が口にしたように、ゴールラッシュの口火を切ったのはサイド突破から。前半1分に左サイドを破った吹ヶのクロスがゴール前でこぼれた所を田中が押し込むと、続く3分にも田中が加点。7分には、右CKのこぼれ球を反対サイドのMF梶山幹太がダイレクトで叩き込み、突き放しに成功した。さらに10分。中央をMF川崎健太郎、FW森晃太と繋いで右サイドに展開。受けた田中がマークを外して、降りぬいた左足シュートがゴールネットを揺らし、スコアは4点差まで開いた。

「5点を獲り返すのは難しい」と京都橘の米澤一成監督が口にしたように、試合早々に勝敗が決する形となり、以降も「前期対戦した名古屋とはかなり変わっていて、チームの雰囲気など全てが良くなっていたように思う。特に速さに対応できなかった」(米澤監督)。京都橘は防戦一方となりながらも、22分にエリア左でFKを獲得。FW岩崎悠人が直接狙ったが、GK加藤大智の好セーブに阻まれてしまう。前半の半ばは名古屋のシュートミスもあり、スコアが動かない時間が続いたが、43分には左サイドを上がった吹ヶのパスからMF杉田将宏が、アディショナルタイム1分にはPA右から放った森のシュートのこぼれ球を川崎が押し込み、前半を6-0で終えた。

「開始すぐの得点で、『二桁得点行けるんじゃないか』という雰囲気になった」(高田監督)という名古屋の勢いは後半も止まらず。3分にはPA右でボールを持った杉田のパスを川崎が決めて加点すると、18分には左からのパスを受けた杉田がGKをかわして、左足シュートを叩き込んだ。以降も攻撃の手を緩めず、3得点を加えて、終わってみれば11-0。勝ち点差2、得失点差8の履正社が大分トリニータU-18(大分)と0-0で試合を終えたため、名古屋は逆転での残留を達成した。

「秋口からやっと名古屋に風が吹いてくれた」と高田監督が口にしたように、前期を最下位で終えた名古屋が浮上のきっかけを手にしたのは、10月から11月にかけて行われたJユースカップ。「Jユースで決勝まで行けたことで、心に余裕が生まれた。ボールを持ってから、しょうもない獲られ方がなくなった」と指揮官が続ければ、川崎も「Jユースの決勝で優勝を逃し、『何が何でもプレミアに残留する』とチームが一つにまとまった」と口にする。

 脅威的な追い上げに、守備の安定も大きかった。Jユースカップからは、これまでボランチだった池庭諒耶をCBにコンバート。高さのある池庭が最終ラインに入ることで、空中戦の勝率が大幅に向上し、「得点力は前期もあったと思うので、守備の安定が一番大きい。後ろが安定したことで、前がより仕掛けやすくなった」(川崎)。冬に向けて状態を上げ、逆転残留を掴んだのは決してマグレではない。試合後に、川崎が「プレミアはU-18年代の最高の舞台。そう簡単には勝たせてくれない舞台だし、チーム全体で戦わないと勝てない。苦しんだ分、学んだことがいっぱいあったし、僕たちも成長できた。後輩たちが来年もまたこの舞台でプレーできると思うと嬉しい」と胸を撫で下したように、後輩たちに大きな置き土産を残して、リーグを終えることになった。

[写真].3点目を奪った名古屋U18MF梶山をチームメイトが祝福

(取材・文 森田将義)
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