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[MOM350]中京大MF小西洋平(4年)_4年でトップ初昇格も骨折離脱…「インカレに懸ける」男が同点アシスト&V弾!

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[大学サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[12.8 全日本大学選手権1回戦 仙台大 2-3 中京大 ゼットエー]

 その推進力が逆転勝利をもたらした。中京大は0-2の後半14分、左サイドにMF小西洋平(4年=刀根山高)を投入。独特のリズムから繰り出すドリブル、スピードを活かした抜け出しで攻撃を活性化すると、1点差として迎えた31分、速攻から左サイドのスペースへ飛び出す。ここへMF藤島樹騎也(1年=星稜高)がタイミングよくクロスボール。一気にDFを振り切った背番号24が中の状況を確認しないままラストパスを入れると、これに体ごと飛び込んだFW猪木遼平(3年=名東高)が頭で合わせて同点ゴールが生まれた。

「(自分が入った時は)0-2だったので、追いつくことを考えていた」という小西はまるで得点を決めたかのように大喜び。さらに34分、その推進力ある動きが決勝点をもたらした。動き出し良くDF背後のスペースを狙った小西は縦パスを引き出す。「裏に抜けた時にトラップさえ上手く行けば1対1と思った」という小西は完璧なファーストタッチでGKと1対1となると、右足シュートをゴールへ流し込んだ。交代出場で試合の流れを引き寄せ、1ゴール1アシストで主役となったMFについて朝倉吉彦監督は「期待以上」と絶賛し、本人も「交代で出る時は0-2だったんですけど、自分がヒーローになるつもりで出たので良かったです」と会心の表情で喜んでいた。

 4年生MFにとってインカレは懸けてきた舞台だ。大阪府立の刀根山高時代は「ベスト16いければいいくらい」で「大学も一番下のチームから」スタートしたという。それでも得点を取ることを心がけてきたという小西は4年目で初めてトップチーム昇格。だが、3月に行われた明治大との試合で左足首を骨折して長期離脱を強いられてしまう。我慢してようやく掴んだトップチームでのプレー機会を増やすことができなかった。

 前期のリーグ戦では出場できず、後期も出遅れた。それでも交代カードとしてのポジションを勝ち取り、「インカレ(全日本大学選手権)に懸けてきた。チームのためにここまで力になれなかったので」というインカレの初戦でチームを逆転勝利へと導いた。その小西について朝倉監督は「今後に繋がるサブ的な選手が出てきた。ビハインドになってもアイツが入ったら逆転できるでしょうという。間に合って良かった」と目を細めていた。

 今後については「サッカー続けたいけれどまだ決まっていない」というだけに今大会は将来へのアピールの場だ。2回戦の対戦相手は春に交代出場で骨折してチームも敗れる悔しさを味わった明治大。「最高の勝ち方ができた」と勢いに乗ったチームの中で「インカレに懸ける」男・小西が、再び役割を果たして白星をもたらす。

(取材・文 吉田太郎)
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