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[MOM363]大阪体育大DF菊池流帆(1年)_「跳ね返すのが楽しい」進化続ける大器、慶大をシャットアウト

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[大学サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[12.10 全日本大学選手権2回戦 大阪体育大 1-0 慶應義塾大 江戸陸]

「跳ね返すのが楽しい」。そう語るルーキーの存在感は絶大だった。青森山田高では大事に育てられて最終学年になって初めてトップチームでの公式戦を経験。そこから全国高校総体、全国高校選手権の優秀選手に選出され、日本高校選抜にも名を連ねた。現在、身長187.5cmのCB菊池流帆大阪体育大で一層の進化を遂げている。今大会初戦はケガの影響によって欠場したが、「とても楽しみにしていた」という青森山田時代のチームメートである慶應義塾大FW松木駿之介とも対峙したこの日、菊池は「熱いプレーが自分の長所なんでそれが出せたと思います」というプレーでチームを無失点勝利へと導いた。

「自分はインターセプトととか得意。簡単に前を向かせなかったと思う」という菊池は下のボールに対して強さを発揮し、背後へのアーリークロスに対しても上手くポジションを調整してクリアしていたが、圧巻だったのは長身を活かしたヘディングだ。特に前から来るボールに対しては抜群の強さを発揮。空中でしっかりとヘディングの姿勢をつくって強く、遠くへと跳ね返し、ボールを味方に繋げていた。

 スクワットジャンプなどの強化メニューでそのヘディングの打点は大学入学時から10~15cmアップ。加えて坂本康博監督が「まだまだやらないといけないことはいっぱいある。今は彼の得意なヘディングを活かそうと。ヘディングはほとんど負けないようにしたい。(現時点でも)前には強い。下がりながらのヘディングとか、その場での(競りながら跳躍する)ヘディング、その3つを特訓している」というように、磨かれてきた競りながらのヘディングや、下がりながらのヘディングも負けないものになりつつある。その武器が関東2位の強豪との一戦で遺憾なく発揮され、完封勝利の原動力になった。

 また坂本監督は「スライディングしないで奪う技術を求めている」という。トレーニングで課せられていることは「スライディング禁止」。ゴールを奪われたり、破られた際、スライディングは最後まで身体を張って守ったように見せる“言い訳”にもなってしまう。また一か八かのプレーになってしまう「危険な」(坂本監督)スライディングよりも素早く予測、対応して相手の前に身体を入れてボールを奪うことを学ばせることが狙い。それは3対3や2対3などDFにとって苦しい状況下のトレーニングを繰り返すことで高められてきた。この日、菊池は「1回スライディングしちゃって反省している」と語っていたが、本人は試合でもスライディングせざるをえない状況にならないことを意識した守りを徹底。そしてチームを救っていた。

 後半30分には顔面ブロックした影響で鼻血を出したが、指揮官が「鼻血出ても、『やるぞ』というタイプだから」と目を細めるCBは応急処置をしてピッチに戻ると変わらぬ情熱で跳躍を続け、ゴールを死守した。経験がまだ少なく、これからの選手だが、その闘争心含めて注目のCB。「(大学)4年間の中でプロになることだけが目標じゃなくて、プロの中でもトップレベルに立ちたいと思っている。なるだけじゃなくてトップレベルに達しないといけないと思っています。自分はJに入ってキャリア積んで、日本代表になって、海外でプレーしたい」という大志を抱く菊池が「日本一」を掲げる今大会、跳んで、身体を張って大体大のゴールを死守する。

(取材・文 吉田太郎)
●第64回全日本大学選手権特集

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