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[MOM364]順天堂大FW佐野翼(3年)_ダイビングヘッドで値千金の決勝弾

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[大学サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[12.11 全日本大学選手権2回戦 順天堂大2-1福岡大 川口]

 順天堂大の最前線は、脅威だ。屈強な身体を誇るFW佐野翼(3年=清水商高)が、何度となく存在感を示した。

 身体能力が高い選手を多く擁することで知られる福岡大との顔合わせとなったインカレ2回戦。佐野は、序盤からポストプレーで軽々とボールをキープ。「相手がもっと前に強いかと思ったけど、問題なくプレーできた。怖さはなかった」と話したように、堂々としたプレーぶりだった。

 前半10分過ぎ、右サイドで相手にピタリと寄せられた状態から浮き球をしっかりと収めると、左方向へのドリブルでカバーに来た相手も跳ね除けてパスを展開。相手の応援スタンドからも思わず「すげえ」と声が漏れた。同23分にはスルーパスに抜け出し、相手GKとの交錯でPKを獲得。先制点を演出した。

 そして、圧巻は後半22分のダイビングヘッドだ。右からのクロスに頭から飛び込んで左へ振る一撃をゴールへ突き刺し、結果的にこの得点が決勝点となって2-1で勝利した。

 佐野は「あそこしかなかった。あそこに竜也君が上げてくれたから取れたゴール。ちょっとマイナス気味のコースなので、入り過ぎずに少し待って合わせた。キレイに決めるより、泥臭い方が得意。良い形でできた」と1回戦の大阪学院大戦に続く、2試合連続ゴールを振り返り、「相手もすごく気持ちが入っていた。想定はしていたけど、苦しい中で、PKとヘディングでチームを助けることができて良かった」と勝利を喜んだ。

 佐野は、清水桜が丘(旧:清水商業)高の出身。当時から、相手を蹴散らすようなパワフルなプレーが持ち味で推進力を高く評価されていた。最大の武器である身体能力を最も生かせるプレーだ。しかし「あれだけだと、体がもたない(笑)。前にゴリゴリと行くだけじゃなくて、ある程度、収めて起点になって、はたいて次に動き出すというプレーも必要。あとは、いきなり裏へ抜けるだけじゃなくて、足下でもらいに行って、出なかったら裏へ走るというタイミングの取り方とか、今後に必要なプレーを大学では練習している」。

「堀池(巧・監督)さんにも動き出し、タイミングはかなり言われている。まだ、完ぺきに起点になれているわけじゃないし、収めるか抜けるかの判断も、味方と連動して片方が抜けて、片方は残るという駆け引きもまだ課題。でも、少しずつだけど、できるようになってきているかなと思っている」と技巧派の多い順天堂大では、グループ戦術や駆け引きを磨くことで特徴をさらに生かそうとしている。

 インカレは、進化を証明する舞台であり、自身にとって初めての日本一を狙う場。佐野は「ここで通用しなければ、先はない。どれだけできるかを楽しんでいる。日本一の経験もしたことがないので、勝ちたい」と意気込んでいる。連続ゴールで勝ち上がれば、個人としてのアピールにもなる。将来のプロ入りを見据え、順天堂大で巧さを身につけ、怖さに磨きをかけるストライカーから目が離せない。

(取材・文 平野貴也)
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