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[MOM1613]新潟U-18GK阿部航斗(3年)_テンションと能力の高いプレーで前橋育英撃破に大きく貢献

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[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[12.11 高円宮杯プレミアリーグ参入戦1回戦 新潟U-18 2-1 前橋育英高 Eスタ]

 攻撃陣の一挙手一投足に、最後尾で一喜一憂したかと思えば、ミスしたチームメートを励ます声も忘れない。時には、熱くなりすぎて、味方が危ないプレーにあった際には、相手に対し暴言すれすれの言葉を飛ばす場面も。プレミアリーグ昇格への想いを熱いプレーに乗せる選手が多かったアルビレックス新潟U-18の中でも、GK阿部航斗のテンションは人一倍高かった。

 そのハイテンションぶりは、チームメートのFW鎌田啓義が「阿部はいつもと違って、今日は気合いが入っていましたね。声を出しまくって、吠えていた」と驚くほど。だが、世代別代表にこれまで選ばれ続け、今季はトップチームに2種登録もされているGKが単にテンションの高いプレーだけでなく、確かな実力を発揮したことがチームの勝因となったのは間違いない。

 前半は守備機会が少なかったものの、相手が攻勢を強めた後半は、「試合が始まる前から、クロスや長いボールを入れてくるチームだと分かっていたので、自分がなるべくクロスの処理に出ようと思っていた」という言葉通り、183cmの高身長を活かした守りで前橋育英の攻撃を何度も遮断。特に目を見張ったのはハイボールへの対応。自らの体勢や、周囲の状況を的確に見極めながら、キャッチとパンチを巧妙に使い分けた。

 もう一つの見せ場は、飛び出し。今季は阿部の飛び出しを前提に、DFラインが高い位置をキープし、コンパクトな陣容を保つ戦い方が新潟スタイルだ。その分、背後を突かれることも多いが、「今年、ずっとやってきたことが今日は出せたのかなと思う。よくやってくれました」と入江監督が評価したように熱くなりながらも、この日は冷静に対処し、ピンチを与えず。後半28分には相手GKのキックがDF裏を急襲し、MF佐藤誠司との1対1を迎えたが、上手く間合いを詰めて対応した。

 一方で、試合終了間際にはキャッチ後に6秒ルールを獲られ、PAで間接FKを献上。直後にも空中でボールをキャッチしたものの、着地点を見誤り、CKを与えるなど熱くなりすぎたが故のミスも。「最後の2つが無ければ、ほぼ良い出来だったと思うけど、最後にチームに迷惑をかけてしまった。こういう大事な試合になると、気持ちが入って熱くなりすぎてしまう」と反省を口にしたが、この日、PKによる1失点のみに抑えられたのは、彼がいたからで間違いない。

 今大会、そこまでプレーに熱がこもるのは、「後輩たちにプレミアという舞台を残したい」から。10月にはJユースカップの2回戦で、ガンバ大阪ユースと対戦し、0-8で大敗。のちにプレミアリーグWESTの王者に屈辱を味わったことで、「自分たちがふがいない結果に終わったのは、常にリーグ戦で高いレベルで戦えていなかったから。ああいうプレッシャーがかかる試合でも、自分たちの戦いができるように、ああいう悔しい想いをさせないためにも後輩たちには高いレベルでプレーさせてあげたい」と気持ちを強くした。次は激戦区、関西を勝ち抜いた徳島市立高が相手。この日同様、楽な戦いにはならないはずだが、強い気持ちで後輩たちに置き土産を残すつもりだ。

(取材・文 森田将義)
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