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「予選も無理だ」…負傷した野津田のために浅野は“姿勢”で示す

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[12.13 クラブW杯準々決勝 マゼンベ 0-3 広島 長居]

 切磋琢磨してきた。ともに13年からサンフレッチェ広島のトップチームに加入したFW浅野拓磨とMF野津田岳人。リオ五輪出場を狙う手倉森ジャパンにも名を連ねる2人は、来月行われるリオ五輪アジア最終予選メンバーに選出される可能性がある。しかし、10日に行われたクラブW杯初戦で野津田が負傷。右ひざ内側側副靱帯損傷と診断され、全治8週間と発表された。野津田から「ケガをした。予選も無理だ」と聞かされた浅野は、「どんな言葉を掛けていいのか分からなかった」。

 マゼンベ戦でベンチスタートとなった浅野に出番が巡ってきたのは、2-0と2点のリードを奪って迎えた後半30分だった。すると、投入からわずか3分後の同33分、右サイドを駆け上がったMFミキッチのクロスをヘディングで叩き込み、貴重なダメ押しゴールを記録した。

「初戦では先発でしたが、ゴールを取れなかった悔しさがありました。FWとして最低限の仕事がゴールだと思うので、僕は毎試合絶対にゴールを取るという気持ちがあります。今日はゴールという結果を残し、チームの勝利に貢献できたのは良かったと思います」。自らの得点に笑顔を見せる一方で、「ただ、自分の中でミスがたくさんあったので満足はできません」と悔しさも滲ませている。

 ピッチ上で結果を残し、自分が頑張る姿を見せたい――。野津田のケガの状況を聞いた浅野は、「まだ何も言葉を掛けてあげられていません。ケガのことを聞いても、『そうか』としか言えず、何を言ってあげればいいのかも分かりませんでした」と表情を曇らせた。しかし、「でも岳人のために僕はピッチ上で頑張るのが一番だと思うし、少しでも岳人を刺激することができれば、それがあいつのためになると思っています。言葉で励ますというよりも、自分の姿勢で励ましたい」と前を向いた。

「僕自身も岳人がケガをしたことは本当に悔しいし、本当に残念ですが、あいつが戻って来た時にお互いを刺激し合えるように、僕はピッチ上で頑張りたい」

 リオ五輪アジア最終予選で3位以内に入ることができれば、リオ五輪出場権を獲得できる。盟友と再び年代別代表で同じピッチに立つには、アジアを勝ち抜くしかない。そのためにも、クラブW杯という大舞台で確かな成長を遂げ、大一番に備える。

(取材・文 折戸岳彦)

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