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[選手権]「東京五輪世代の逸材集結!冬の主役候補たちvol.6」玉野光南FW土居晃貴(3年)_世界驚かせた一撃決めた“油断ならない男”

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第94回全国高校サッカー選手権

 GKからのロングキックを2人が続けてヘッドでつないだボールを、胸トラップして、右足で浮かせ、ジャンピングボレーでゴール左上に突き刺した。浦和内定MF伊藤涼太郎を擁する作陽高との選手権予選決勝、延長後半アディショナルタイムの決勝スーパーゴールは、動画があっという間に拡散。日本のみならず世界中で注目を集め、玉野光南高FW土居晃貴の名前も一躍、注目を集めることとなった。

 この試合では相手の厳しいマークに遭い、ほとんど見せ場がなかった。後半に一度だけあったチャンスでも右足シュートがミートせず、本人も「何もできていなくて、迷惑をかけていた」と振り返っている。それでも最後の最後に持ち味の一つであるシュートのうまさを発揮し、2-1の逆転勝利の立役者に。映像を見たプリンスリーグ中国のライバル校の某監督は「それまで何もしていなくても、ここぞというときに決定的な仕事をする選手。それでウチもやられたから」と納得顔だった。

 玉野光南では入学当初からレギュラーポジションをつかみ、1年時にも予選決勝で作陽を下して全国の舞台に立っている。スピードや高さが他の選手と比べて抜きんでているわけではないが、前述したシュートのうまさや勝負強さ、スペースに抜けるタイミングの良さを武器に、多くの貴重なゴールを決めてきた。

 乙倉健二監督は、この3年間の成長について「居残り練習などで、このチームで間違いなく、一番多くシュートを打ってきた選手。努力し続けて、積み重ねてきたものが花開いている」と評価する。今年度は全国総体県予選決勝で逆転負けを喫し、自身もノーゴールに終わったが、選手権では努力の成果を発揮して、自身2度目の全国大会出場を勝ち取った。

 2年前、チームは2勝を挙げて3回戦まで進出。全試合に先発したが無得点に終わっている土居は、「得意としているスピードを生かしたプレーや、抜け出しで、全国でも通用するプレーを見せたい」と語り、全国での初ゴールと、チームの上位進出に向けて意気込んでいる。前回大会王者の星稜高(石川)と対戦する初戦の2回戦には、多くの高校サッカーファンが訪れるだろうが、玉野光南の11番が目立たなくても、油断してはいけない。あのゴールを上回るような超絶スーパーゴールが飛び出し、歴史の目撃者となるチャンスが待っているかもしれないからだ。

(取材・文 石倉利英)

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