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[選手権]「3年生の大会」で輝きを放つのは?注目のRookieたち

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 高校サッカー選手権は「3年生の大会」とよく言われる。最後のチャンスであり、3年間を共にした仲間と過ごすフィナーレの舞台なのだから、彼らが最も力を発揮するのは実際にそのとおりだ。ただ逆に言えば、そうした舞台でなお輝く1年生がいるとするなら、それは周囲からの信頼を得るだけの実力を持ち、努力を積み重ねてきた選手ということ。今回はそうしたルーキーたちを北から南までポジション別に総覧してみたい。

 まずは最後の砦、GK。さすがにこの位置を1年生に託すチームはレアなのだが、國學院久我山高の守護神は紛れもないルーキー・平田周だ。高いハンドリング技術に加えて、上級生に対しても物怖じしないコーチングでチームを最後尾から支える。1年生を積極起用する伝統を持つチームだけに、CBでも上加世田達也がレギュラー格。上背はさほどないが、激しさを伴ったディフェンスで平田と共に守りを固める。

 CBでは鹿児島城西高生駒仁が最注目だろう。185cmの長身を生かしたヘディングの強さは特筆もの。実兄・稀生と組む最終ライン中央は連係も万全。他には駒澤大高西田直也もロングボールが蹴れてハイボールにも強く、入学初年度にして守備中央を託される存在。松山工高志摩奎人も競り合いに強さを発揮するストッパーとして活躍しているほか、初芝橋本高上原真尋もアグレッシブな守備とロングキックでレギュラーの座を勝ち取っている。

 SBでは今年の高校総体でブレイクした市立船橋高の左サイド、杉山弾斗の名前が真っ先に挙がるだろう。守備面では先輩たちにまだ劣る部分もあるものの、前に出て行って加える迫力はトップレベル。また、京都橘高の河合航希も左SBでレギュラーの座をガッチリ確保。プレミアリーグでタフな経験を積んできたことを選手権に生かすはず。阪南大高吉田伸弘もサイドを固める守備の強さが光る堅実派で、出場の可能性は十分ありそうだ。

 中盤は最も1年生が出場機会を得やすいポジションであり、まさに多士済々。ボランチとしては、U-16日本代表の経験も持つ日章学園高佐藤颯汰の名前が真っ先に挙がるだろう。高い技術を生かして入学早々からチームの心臓部で出場を重ねてきた。また藤枝東高のMF山口晏侍も面白い。ルーズボールに対する反応が良く、空中戦にも強いタイプで、パスをさばくセンスもある。大分高のMF嶋津翔太もパスワークを身上とする今年のチームで核となる存在。スキルの高さは折り紙付きだ。

 素材感で言えば、明徳義塾高江口隆史も絶対に挙げておきたい選手。181cmの大型で、3センターハーフの一角からダイナミックな攻撃参加を見せてくれる。そして渋さが光るのは、京都橘高内田健太。小柄ながら戦えるタイプで、ディフェンスラインの手前で相手の攻撃を防ぐ。最後にレギュラーではないものの、隠し球的に挙げておきたいのが、矢板中央高松井蓮之。中学時代の福島県選抜ではCBとして活躍していた球際の強さとヘディング能力をボランチとして発揮する。

 攻撃的なポジションでは、藤枝東高のMF曽根大和が右サイドからの切り込み役として予選から活躍を見せた。スピードに乗ったドリブルの感覚に加えて果敢に得点も狙う積極性が光る。京都橘高輪木豪太も同じくサイドハーフとしてチームに定着してきた。165cmと小柄だが、馬力を感じさせる力強い突破で観衆を沸かせる。野洲高が誇る3トップの左翼を務める高取誠隆も小気味よいドリブルが光る、観ていて楽しい好プレーヤー。ユニフォームを汚すこともいとわない前向きな姿勢でも存在感を出す。

 FWでは京都橘高梅津凌岳が要注目。相棒のU-18日本代表FW岩崎悠人との連係も1年を通じた活動でかみ合ってきており、技術を生かしてトップ下の位置で起点を作る梅津からのパスで岩崎が抜け出す攻めは怖さ十分。抜群のテクニックと意外性のあるプレーを見せる正智深谷高のFW梶谷政仁も本大会でのブレイクに期待が掛かる。

 ほかにも桐光学園高の俊足FW倉持快と抜群の技巧と根性を兼ね備えるMF田中雄大は、どちらも小型な機動力勝負ができるタイプで、スーパーサブ的な起用がありそうだ。ドリブルとテクニックで変化を加える神戸弘陵高のMF(あるいはFW)竹村史明、U-16日本代表にも選ばれた市立船橋高の機動系MF吉田歩未、同じ市立船橋の秘密兵器の声もあるFW有田朱里も注目。そして東福岡高のFW福田湧矢は個での仕掛けからチャンスを作ってゴールも奪える期待の逸材で、分厚い選手層の中でも出番はあるだろう。

 以上、ざっくり観てきたが、予選からの数か月でまだ観ぬ1年生が台頭してきたチームも当然あるだろうし、大会の中でラッキーボーイ的に出番をつかむ選手も現れるかもしれない。「3年生の大会」にあってなお輝く、そんなルーキーの出現を楽しみに待ちたい。

[写真]今大会注目の1年生CB、鹿児島城西DF生駒仁

(取材・文 川端暁彦)

川端氏が挙げる注目Rookieたち
GK平田周(國學院久我山高)
CB生駒仁(鹿児島城西高)
CB志摩奎人(松山工高)
CB西田直也(駒澤大高)
CB上加世田達也(國學院久我山高)
CB上原真尋(初芝橋本高)
SB河合航希(京都橘高)
SB吉田伸弘(阪南大高)
SB杉山弾斗(市立船橋高)
MF輪木豪太(京都橘高)
MF内田健太(京都橘高)
MF竹村史明(神戸弘陵高)
MF佐藤颯汰(日章学園高)
MF嶋津翔太(大分高)
MF江口隆史(明徳義塾高)
MF曽根大和(藤枝東高)
MF山口晏侍(藤枝東高)
MF田中雄大(桐光学園高)
MF吉田歩未(市立船橋高)
MF松井蓮之(矢板中央高)
FW福田湧矢(東福岡高)
FW梅津凌岳(京都橘高)
FW高取誠隆(野洲高)
FW有田朱里(市立船橋高)
FW梶谷政仁(正智深谷高)
FW倉持快(桐光学園高)

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