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[選手権]チケット完売の“セクシー対決”は聖和学園が衝撃の7発で野洲を粉砕

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[12.31 全国高校選手権1回戦 聖和学園高7-1野洲高 ニッパツ]

 第94回全国高校サッカー選手権は31日、1回戦を行い、ニッパツ三ツ沢球技場の第2試合では聖和学園高(宮城)が野洲高(滋賀)に7-1で大勝し、2大会連続で初戦を突破した。初の16強を懸け、1月2日の2回戦では青森山田高(青森)と対戦する。

「出来が良すぎました」。聖和学園の加見成司監督が第一声でそう語ったとおり、“セクシー対決”として注目された一戦は思わぬ大差が付いた。勝ったのは「東北のドリブル軍団」。自陣からでもドリブルで運び、とにかく技術にこだわった「魅せるサッカー」が元祖・セクシーフットボールの野洲を文字どおり粉砕した。

 前半13分、ドリブルで持ち込んだFW谷田光(3年)がPA内左に切れ込み、左足を一閃。豪快にゴールネットを揺らすと、同17分にも谷田のシュートをGKが弾いたこぼれ球をDF小池慶尚(3年)が押し込み、追加点を奪った。

 さらに1分後の前半18分、MF高橋勇太(3年)の浮き球のパスに反応した谷田がGKとの1対1から冷静に右足で流し込み、3-0。「選手のやってやろうという気持ちが出すぎてオーバーペースだった。3点入った時点でまだ20分を過ぎていなかった。そういう試合展開になるとは予想していなかった」と加見監督も驚くしかなかった。

 後半に入ると、野洲もMF林雄飛主将(3年)、FW村上魁(3年)のコンビネーションからチャンスをつくり、反撃に出た。ところが、後半6分、自陣PA内でMF松井亮太(3年)が聖和学園DF釼持雅也(3年)を倒してしまい、PKを献上。これを釼持に決められ、4失点目を喫した。

 それでも後半9分、林の右CKからオウンゴールを誘い、1点を返した野洲。同18分には相手GKが飛び出した隙を突いて林が決定的なループシュートを狙ったが、カバーに戻ったDF竹田将起(3年)がゴールライン上でクリアする。すると直後の後半19分、聖和学園はカウンターからMF波田野海(3年)がドリブルで駆け上がり、追加点。5-1と突き放し、試合を決定づけた。

 後半37分には中央を抜け出したセンターバックの竹田がGKとの1対1を制し、ダメ押しの6点目。後半アディショナルタイムにも竹田の右クロスから途中出場のFW奥野裕斗(3年)がゴールネットを揺らし、7-1のゴールショーを締めくくった。

 この日の三ツ沢球技場は第1試合が優勝候補の一角である青森山田と大社高(島根)の対戦だったこともあり、第1試合がキックオフした正午過ぎにチケットが完売。第1試合は1万4700人、第2試合は1万5300人の大観衆がスタンドを埋め尽くした。

「ベンチにいると、(スタンドが)シーンとしていて」。加見監督はそう苦笑いしたが、セクシーフットボールで05年度大会を制した野洲を圧倒した聖和学園のプレーに観客が度肝を抜かれたのも確か。野洲のサッカーは「あこがれであり、目標」という加見監督は「今日、どういう勝ち方をしようが、それは変わらない。たまたま点差が開いたけど、お互いに切磋琢磨して、こういうチームが増えてくればいいと思う」と、両チームが良さを出し切った末に“偶然”の大差が付いただけと強調した。

 1月2日の2回戦では青森山田と対戦する。この日の1回戦でもロングスローから2得点を奪うなど、高さと強さを誇る相手を「青森山田さんはこちらの良さを消してくるだろうし、高さという武器もある」と警戒。この日先発したフィールド選手は全員が175cm以下の聖和学園にとって青森山田の高さは脅威だが、「ボールは落ちてくるので、そこで勝負するしかない。ここの壁を乗り越えないと」と、同校初となる3回戦進出を誓った。

(写真協力『高校サッカー年鑑』)

(取材・文 西山紘平)

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