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[MOM1653]新潟明訓MF加藤潤(3年)_中盤の底でチームを支え続けた主将が「見せ場をつくろうと上がり」ダメ押し弾をアシスト

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[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[12.31 全国高校選手権1回戦 新潟明訓高2-0那覇西高 フクアリ]

 16年ぶりとなる全国高校サッカー選手権の舞台。選手権未経験のチームがいつも通りのプレーができないのも無理はない。「落ち着きがなかった」。新潟明訓高(新潟)の主将MF加藤潤(3年)は、1回戦の那覇西高戦を振り返った。

「前半5分くらいで『勝てそうだな』と予測できるんですけど、今日はわからなかった。難しい試合になると感じました」。ゲームを読む力に長けたMFも、選手権という大舞台を戦うチームを冷静に見ることができなかった。落ち着きを無くしたチームに対して、「声をかけようと思っていたんですけど、前半は分析できなかった」という。U-16日本代表も経験している司令塔は、攻撃では的確にボールと散らし、守備では潰し役をこなしていたが、自身への評価は「何もできなかった」と厳しい。

 それでも、後半を迎える頃には相手のこともよく見えるようになってきた。「(那覇西の)逆サイドが空くので、ロングボールを多くしつつ、中央へのパスもありかなと。後半は効果的なパスが出せたと思います」。テンポアップした新潟明訓は後半、前半の倍以上にあたる12本のシュートを放つ。しかし、得点ボードの0-0は動かない。「時間がヤバいかなとは思っていましたけど、相手の足も止まっていましたし、焦れずにやるだけでした」。そして迎えた後半34分、MF関口正大(2年)が待望の先制点を叩き出した。

 キャプテンに対して田中健二監督の評価も高い。「キャプテンシーが強過ぎて悩んでいる部分もあるんですけど、(新潟明訓は)加藤のチームなので。加藤がいるから攻撃ができる。いまはチームのバランスを考えながらプレーしてくれています。地味なんですけど、評価してあげたい。上がりたい部分をおさえてプレーしているのが彼の良さ」とアンカーとしての役割を全うする加藤に賛辞を贈る。決勝点を挙げた関口も「責任感があってすごい尊敬しています。自分は1つ下の学年なので、潤くんの背中は常に見るようにしています」と尊敬の念を示す。

 しかし、ダメ押しとなった後半40分のFW田辺大智(3年)の得点は、加藤のアシストによるものだった。高い位置でボールを奪った加藤は、PAまで進入すると、ゴール前の田辺に横パスを送り、これを田辺が左足で流し込んだ。1点リードの試合終了間際になぜあの位置にいたのか?「『ここだ!』と感じたので。1試合通じて何もできていないのが嫌だったので、見せ場をつくろうと上がりました(笑)」。新潟明訓の選手権初勝利を支えた男は、笑顔をこぼした。

(写真協力『高校サッカー年鑑』)

(取材・文 奥山典幸)
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