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[選手権]注目の2年生FW岩崎は脅威になるも初戦敗退、受け取ったキャプテンマークとともに必ず来年の選手権に

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[12.31 全国高校選手権1回戦 尚志高 1-0 京都橘高 駒沢]

「本当にボクの力不足だったかなと思います」。尚志高に0-1で敗れた京都橘高のU-18日本代表FW岩崎悠人(2年)は、直前にロッカールームでCB小川礼太主将から渡されたキャプテンマークを握りしめたまま、語り始めた。「攻撃でなかなか起点をつくれずチャンスが少なかった。後半、最後あった右足のシュート……質がまだまだ足りないと思いました」。

 そのプレーはプリンスリーグ東北王者の尚志を十分に苦しめた。一度スピードに乗ると、そのドリブルは簡単には止まらなかった。2人がかりで止められても、混戦でまたボールを取り返して攻撃につなげようとする。バルセロナ五輪予選日本代表の尚志・仲村浩二監督が「ボディバランスとか、日本人じゃないんじゃないかというものを持っている」と評したように、その“日本人離れ”した才能で脅威となった。

 DFに厳しいプレッシャーをかけられても失わないボールタッチ、キープ力。空中戦では自身よりも大型の選手にも競り勝っていた。それでも最大の持ち味であるDF裏へ抜けるスピード、その回数を発揮することはできず。いい形でボールが入らない中、前線から中盤へ降りてボールを受けようとしていたが、相手のボランチと「結構マンツーマンされていた」CBに挟まれて苦しい状況となった。

 自分で全て仕掛けるのではなく、自分が囮になることでチームの攻撃を好転させた。そして後半アディショナルタイムにはMF稲津秀人からのスルーパスで抜けだし、切り返しから渾身の右足シュート。だがこの一撃はGK正面を突き、終盤は迫力を増していたドリブルで幾度も守備網を破ったが、その突破も得点には繋がらなかった。「結果が残せなかったのが悔しいですね。最後のところでやっぱり甘さがあった。力不足です」。得点王候補は同じく存在感を発揮した昨年同様、無得点で大会を去ることになった。

 京都府予選後に次期主将になることが決まった。代表との兼ね合いもあってより多忙になるが、プレーだけに専念するのではなく、あえて主将の責任を背負うことを決意した。「もっとやらないといけないことが増えると思う。自分だけじゃなくてチームをまとめなければいけないことが確実に増える。でも本人にとっては良い成長に繋がるんじゃないかなと思います」と米澤一成監督。前任の主将である小川からは「来年楽しませてくれ」とエールを受けた。小川は「大変だと思うんですけどアイツだったら大丈夫だと思うので。アイツはプレーで引っ張れる。1、2年の憧れになってほしいと思いますね」。他の高校生ができないような経験をしてきた本人はプレー面だけでなく、「サッカー以外のところでも1、2年生に声かけてあげたり、チームを引っ張る声をかけてあげたい」と主将の重責を全うすることを誓った。

 この1年間は日本高校選抜やU-17、U-18日本代表の合宿、遠征、そしてFC東京への練習参加や大宮ユースのオランダ遠征に帯同もした。多忙でまた大きな注目を集める中で過ごしたこの1年。「いろいろマンツーマンでつかれたり初めてのことが多い中で苦しかったですね」と振り返る。来年はよりその存在がクローズアップされる中での一年となるが、「今年厳しくしてもらったので。自分の課題が見えているので周りと協力しながら修正していければ問題ない。とにかく一生懸命やってそれで結果がついてくればいいと思いますし。周りで起きることを拒否せずに、起こることに(自然に)流されながらやっていきたいです」。全国制覇、ゴール……まだ選手権ではやり残したことだらけ。「(実際に受け取ると)重いです」と口にしたキャプテンマークを巻いて来年、スケールアップして必ず選手権に帰ってくる。

(取材・文 吉田太郎)
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