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[選手権]“3年間西が丘無敗”國學院久我山がラストプレー同点弾など驚異の粘り見せた明秀日立をPK戦で退ける

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[1.2 全国高校選手権2回戦 國學院久我山2-2(PK3-1)明秀日立 味フィ西]

 全国高校サッカー選手権大会の2回戦が2日に行われ、味の素フィールド西が丘の第1試合では、國學院久我山高(東京A)が明秀日立高(茨城)を2-2から突入したPK戦の末に3-1で下し、3回戦に進んだ。3日のゲームでは神戸弘陵高(兵庫)と対戦する。

 序盤からペースを掴んだのは國學院久我山だった。MF内桶峻(3年)のいる右サイドを中心に明秀ゴールに迫ると、25分にはMF名倉巧(2年)のドリブル突破が相手のファウルを誘い、いい位置でFKを獲得。しかし、FW内桶峻(3年)の狙ったシュートは枠内を捕えることはない。同34分には名倉がFW澁谷雅也(2年)とのワンツーでゴールに向かうが、これもシュートが枠を捕えることはなかった。

 明秀日立は押されながらも前線からの素早いプレス、細かいパスワークでリズムを取り戻す。そして後半に入ると立て続けにチャンスを迎える。7分には浮き球パス一本でMF吉田知樹(3年)が裏に抜けるが、惜しくもシュートまで持ち込めず。同9分にはDF林大地(3年)の左クロスをファーサイドで吉田が折り返すが、中に誰も飛び込むことが出来なかった。

 すると久我山がまずは個の力でゴールをこじ開ける。後半12分、名倉の縦パスを受けた澁谷が、DFに囲まれながらも切り返しでコースを作って右足を振り抜く。ボールに勢いはなかったが、エリア外から放たれたシュートは、GK宮田英幸(3年)のタイミングを外して、ゴールネットに吸い込まれていった。

 明秀日立は後半24分から1週間前の練習で負傷したためベンチスタートが続く主将DF石川慶人(3年)を最前線に起用。前線に高さを与えて、パワープレーに出る。しかし次の得点も久我山に入る。同36分、左サイドからのFKを獲得すると、DF山本研(3年)の弾丸シュートが枠内を捕え、リードが2点に広がった。

 ただ、明秀日立の反撃はここからだった。失点直後のリスタートでボールを繋ぐと、途中出場のMF小磯克文(2年)が中央から右足でゴールネットを揺らして1点差。勢いのままに後半アディショナルタイムに突入すると、AT4分、DF菅野佑哉(3年)の蹴ったFKが浮き球になって繋がると、右サイドにいたDF小池架惟斗(3年)がヘディングで押し込む。久我山DFがライン上でかき出したが、副審がゴールを認定。直後に試合終了のホイッスル。文字通りのラストプレーで勝敗の行方はPK戦に委ねられることになった。

 勢いは明秀日立か。しかし、その前に1年生GKが立ちはだかった。國學院久我山のGK平田周(1年)は明秀2人目石川のシュートを右に飛んでストップ。同3人目では劇的弾を決めた小池が登場するが、左に飛ぶと、ボールはポストを叩いて外れる。後攻の久我山が3人全員が成功させたのに対し、明秀は4人目の吉田も失敗。吉田のシュートが左に外れた瞬間、國學院久我山の3回戦進出が決まった。

 久我山は12月31日に行った1回戦の広島皆実戦も西が丘で行っている。実は國學院久我山、現3年生が入学してから、西が丘では無敗、無失点を継続させていたのだという。無失点こそ残念ながら途絶えたが、無敗は継続。PK2本を止めて勝利の立役者となった平田は、「3年生は3年間西が丘で負けていないことにに強いこだわりがあった。続けられてうれしい」と記録樹立を喜んだ。

 全国16強。次戦、神戸弘陵戦を行う駒沢陸上競技場は、昨年度の大会でも3回戦で使用し、京都橘高にPK負けを喫した“鬼門”でもある。清水恭孝監督は「過去最高ベスト8まで行っているが、3試合しか試合をしたことがない。今年は4試合やろうと言っている。西が丘は無敗で終わることが出来た。次は鬼門の駒沢にチャレンジしたい」と力を込めた。

 ラスト4分から2点差を追いつく驚異の粘りを見せた明秀日立だが、一歩、いや半歩届かなかった。萬場努監督は「出来れば前半15分で先制したかった。相手が嫌がっていたのは分かった」と立ち上がりを悔やむ。ただ、今大会は初出場ながら、1回戦では名門・四日市中央工高を破る波乱を演じるなど、存在感は示すことが出来た。その点に関しては指揮官も、「挑戦者としての戦いは示せた」と清々しい表情を浮かべていた。

(写真協力『高校サッカー年鑑』)
(取材・文 児玉幸洋)
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