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[選手権]各務原MF和田、「サッカーを辞めるかもしれない」…覚悟を持って臨んだ最初で最後の大舞台

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[1.3 全国高校選手権3回戦 各務原高 0-3 明徳義塾高 浦和駒場]

 11年ぶりに選手権出場を果たした各務原高(岐阜)。初戦の佐賀北戦、2回戦の香芝戦でともに1-0の勝利を収め、同校史上初の3回戦進出を決めた。MF和田遼馬(3年)は間違いなく、歴史的な2勝を挙げたチームの攻撃の核だった――。

 快進撃を続ける各務原だったが、3回戦の明徳義塾戦では相手に主導権を握られてなかなかペースをつかめない。しかし、前半をスコアレスで折り返したことで、和田は「相手のペースで試合は進んでいましたが、前半は0-0で大丈夫と考えていました」とプランを崩さずに試合を進められていたと話した。

 後半には和田の正確なプレースキックから明徳義塾ゴールを脅かす場面を作り出したものの、先制点を奪えずにいると、後半39分から3点を奪われて0-3の完封負けを喫することになった。「試合終盤は足が止まってしまい、失点をしてしまったので自分たちの甘さが出てしまったと思います」と悔しさを滲ませた。

 今大会、各務原が挙げた2得点はともに和田がアシストしたものだった。佐賀北戦では正確なCKで、香芝戦ではピンポイントクロスで決勝ゴールを演出し、その他の場面でも高精度のキックで幾度となく好機を生み出すなど、チームの攻撃をけん引し続けた。「3年間やってきたことを出せたとは思います」と満足感を示す一方で、初の選手権に「今まで経験したことがない全国の舞台で、上には上がいると感じましたし、まだまだ自分は弱いなと思いました」と少しだけ寂しげな表情を見せた。

 高校生活の集大成とも言える選手権。和田は一つの覚悟を持って、大舞台に臨んでいた。「実はサッカーを続けるかどうか、迷っているんです。今まで長い間サッカーをしてきたことを活かして、大学に行き、サッカーに関わる仕事に就けるように勉強に集中したいと考えていて、サッカーを辞めるかもしれません」。まだ、サッカーを辞めると決断したわけではない。プレーを続ける可能性はあるとしながらも、もしかしたらスパイクを脱ぐかもしれないと明かした。

 ただ、3年間、何よりもサッカーを優先させて日々を過ごしてきたことは間違いない。「厳しくて、辛かったけど、それを乗り越えてきたからこそ全国大会に出られたと思っています。選手権の舞台に立ち、2回も勝つことができたので、サッカーを続けてきて良かった。本当に、この舞台でプレーできて楽しかったです」と悔いのない表情を見せて高校3年間を振り返った。

(取材・文 折戸岳彦)
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