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[選手権]決められなかった絶好機・・・山形加入の市船FW永藤「あそこのシーンに戻りたい」

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[1.3 全国高校選手権3回戦 東福岡高 0-0(PK4-3)市立船橋高 フクアリ]

「最後チャンスが何回もあったんですけれども、そこで決め切ることができなかったので……。あそこのシーンに戻りたいです」。山形内定のU-18日本代表FW永藤歩(3年)は決めることのできなかった「あそこのシーン」への無念を滲ませていた。

 0-0の後半39分、市立船橋高は交代出場のMF西羽拓(2年)が右サイドを攻略。DFをかわしてラストパスを入れた。マークを外してPA中央へ飛び込んだ背番号10が身体に当てれば決勝点というシーンだったが、永藤が振りぬいた右足は空を切り、ボールはファーサイドへ。これを含めて終盤、2度のビッグチャンスがあっただけに「あそこ決めていれば勝てた」と注目の快足エースは唇を噛んだ。

 東福岡高と市立船橋が前回対戦した8月9日の全国高校総体決勝を永藤は負傷欠場。前日の準決勝・関東一高戦の前半に大腿部の肉離れを起こして決勝は仲間たちがPK戦で敗れて涙する姿を見ることしか出来なかった。それから約5か月後に訪れたリベンジのチャンス。後半11分、リラックスさせながら指示をする朝岡隆蔵監督から「最後、やってこい」という言葉を受けて、試合に決着をつけるためにピッチに立った。

 圧倒的なスピードでDFラインを切り裂く10番が本来のキレだったとは言い難いが、それでも「とにかくSBの裏へどんどん抜けてやろうと。かなり開いていたのでそこへどんどん抜けていってCKとか自分らの得意なセットプレーを増やしていけたらと思っていました」という永藤は、間合いを開けて守るDFを一気にかわしにかかってシュートを打ち込むなど相手の脅威となった。だが、1点が決められず。チームは夏同様に再び涙を飲むこととなった。

「夏、日本一の手前で東福岡に負けて、見ていることしかできなくて。でも選手権で東福岡とやるとなってボク自身は嬉しくて、絶対に点取ってやろうという気持ちはあったんですけど……。負けてしまったので悔しいです」。夏に負ったケガから復帰を目指す段階で再発させて、公式戦のピッチに戻ったのは11月1日の選手権千葉県予選準々決勝。徐々にコンディションを上げて行く中でその後も出場時間は限られた。夏以降、エースがその稀有な能力でチームを勝たせた試合はほぼなかった。仲間たちに迷惑をかけた思いがあるからこそ、何とかチームを救いたかった。

「自分、怪我した時にいろいろな人が励ましてくれて、仲間も励ましてくれたし、これからプロに行くってなって、そういう支えを忘れないでやっていかないと成功しないと思うので感謝を忘れずにやっていきたい」。仲間、支えてくれた人々への恩返しはプロの世界で活躍して必ず果たす。

(写真協力『高校サッカー年鑑』)
 
(取材・文 吉田太郎)
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