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[選手権]「東京背負って戦いたい」「東京の希望に」國學院久我山が東京勢24年ぶりVへ挑戦!

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 第94回全国高校サッカー選手権大会で、初の決勝進出を果たした國學院久我山高(東京A)が10日午前、埼玉県内で決勝(11日、埼玉)前日練習を行った。主力組はほぼボールに触らず、リカバリー中心のメニュー。リラックスした表情で調整した選手たちは1時間ほどでピッチを後にした。 

 過去東京都勢で選手権制覇している高校は帝京高だけ。近年は東京都代表が全国上位に入ることは難しく、國學院久我山の4強、決勝進出はいずれも98年度の帝京以来17年ぶりだった。今回、國學院久我山が優勝すれば、91年度大会で四日市中央工高(三重)と両校優勝した帝京以来24年ぶりの快挙となる(単独優勝は83年度の帝京以来)。それだけに、この日、東京都のライバル校の指導者からもエールを受けた清水恭孝監督は、「いろいろな期待をしてもらっているので重いのかもしれないですけれど、嬉しいことだと思うんですよね。なかなか人に期待されることとか、自分のチームのある方に言ってもらえることはなかなかないこと。それ(思い)を背負うべきだと。そして全力で自分たちの力を発揮するだけだと思います」と力を込め、今大会ブレイク中のMF名倉巧(2年)は「東京が決勝行くのは10何年ぶり。東京代表としても負けられない。東京背負って戦いたい」と宣言した。

 高体連加盟校数が全国ナンバー1の351である東京都。首都・東京は毎年代表校として2校を選手権の全国舞台へ送り出しているが、上位が遠かった。04年度から06年度にかけては3年連続で代表2校が初戦敗退。片方のチームがベスト16やベスト8へ進出しても、もうひとつの高校が初戦敗退したり、なかなか結果が伴わなかった。より全国舞台で活躍している強豪校への憧れもあってか、東京都の中学生たちも千葉や神奈川、埼玉、群馬の強豪校を進路に選択するケースが少なくない。その中で夏の全国高校総体では関東一高がベスト4進出し、今大会は國學院久我山と駒澤大高が史上初となるベスト8揃い踏み。そして國學院久我山が決勝まで勝ち進んだ。清水監督が「五分五分の勝負では結果は分からない。足りなかったところもあったかもしれない。でも決して東京の高校の力がない訳ではなかった」という言葉通りに、きっかけを掴んだ東京都の高校が全国舞台で強さを証明。このことはライバル校のモチベーションを高めるなど少なからず今後の東京の高校サッカーに好影響を及ぼしそうだ。

 右SB宮原直央主将(3年)はいう。「東京の2校出させてもらっているんですけど、(結果が出なければ)東京レベル低いんじゃないかという声も上がってくるんじゃないかと思う。今回の大会では両方の代表がベスト8まで登ったこともありますし、久我山が決勝まで来たことで注目の目で見られるというか、今度決勝ではたくさんの人に見てもらえる。(東京のチームにとって)ひとつの希望に自分たちがなれるならば嬉しい。なかなか東京のチームにも素晴らしいチームが多いですし、東京にひとつの希望を与えれば嬉しいと思います」。選手たちは久我山の歴史を変えることを目指していることはもちろん、今回の躍進によって進路を選ぶ東京都の中学生たちや、ともに戦う高校生たちの希望になればいいと考えている。

 國學院久我山は現在、東京都1部リーグ所属。決勝で対戦する東福岡高(福岡)は高校年代最高峰のリーグ戦、プレミアリーグWESTで2位に入った“格上”の強豪だ。リーグ戦のカテゴリーは東福岡の方が2つ上。清水監督が「あそこで勝ち続けているのは凄いと思います」と語るように、プレミアリーグEAST2位の青森山田高を破って決勝進出した國學院久我山でもプレミアリーグのレベルの高さを認めざるを得ない。國學院久我山がプレミアリーグに参入しても久我山らしいサッカーを展開できるのではないかという思いはある。だがトップレベルのJクラブユース、強豪校との18試合のリーグ戦で青森山田や東福岡と同じような結果を出すのは本当に難しいこと。だが、対戦相手の強さを認めているからこそ、プレミアリーグ勢の強いチームを連破することに選手たちは魅力を感じている。東京都1部リーグのチームがプレミアEAST2位の青森山田とプレミアWEST2位の東福岡を連破しての日本一達成へ。DFリーダーのCB野村京平(3年)は「(青森山田と東福岡を倒せば)革命っすね。これ倒せば最強って言えるんじゃないかなと思う。自分たち、強い相手だと燃えるんで自信もってできると思います。歴史変えて初優勝したい」と決勝で“革命”を起こし、日本一を勝ち取ることを誓った。

(取材・文 吉田太郎)
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