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[MOM1695]西武台FW山口拓真(2年)_「あの位置は外さない」、背番号10の矜持

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[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[1.30 JYPSL 東京Vユース2-2西武台 西武台第二G]

 偶然決まったものではない。計算通りの一撃だった。後半37分に2-2に追いつくシュートを決めた西武台高FW山口拓真(2年)は得点シーンを振り返ると、「あれはあえて長くトラップしたんです」と口を開いた。

 1-2で迎えた後半37分、PA左でFW丸山敦司(2年)からパスを受ける前から、山口はどのようにシュートを打つか相手DFの動きを「予想していた」と言う。

 実際にパスが来ると「短くトラップすると相手が足を出してきて当たってしまうと思い、あえて長くトラップしました」。足元に着けずに前へボールを押し出すと、ファーサイドを狙うと思わせながら、左足でニアサイドを突いた。計算尽くしの一撃はゴールネットを揺らした。

 寒空の下、半袖姿で前線を駆け回っていたFWは決まった瞬間に両手でガッツポーズ。「あの位置は絶対に外さないです」という自信を裏打ちするシュートだった。チームは土壇場で2-2の引き分けに持ち込み、試合を終えた。

 とはいえ試合後、「自分は負けず嫌いなので」と言う山口は険しい表情。「超悔しい」と幾度も口にしては「自分的には全然いけた。失点が全て崩されたものじゃないだけに悔しい。そういうところが俺らの弱いところなんだと思う」と反省を述べた。

 今季からエースナンバーである10番を背負う山口。以前から守屋保監督へ「10番を着けたい」と幾度も直訴してきたが、指揮官からは「学校生活をちゃんとやってないと、10番はあげないぞ!」と言われていたという。それでも最終学年を迎えるにあたり、ようやく監督から待望の10番が授けられた。

 新背番号が決まった当時の気持ちを「超嬉しかったです。だってかっこいいじゃないですか」という山口は「小学生のときは10番だったけれど、中学では9番。でも10番にずっと憧れていた。背番号は関係ないという人もいるけれど、サッカーは10番が一番目立つし、チームの顔。だからこそ着けたかった」と熱い思いを口にする。

「10番を着ける限りはその責任を持って、チームをプレーで引っ張っていけるような選手になりたい。得点やアシストで結果を残したい。自信? 自信は全然ありますよ!」

 今季の目標に埼玉制覇を掲げ、全国総体と選手権では全国ベスト8入りを目指すと誓った西武台の新10番。背番号への矜持を結果で示す。

(取材・文 片岡涼)

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