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[新人戦]テーマとして掲げる今年の漢字は「幸」、名門・滝川二は辛い結果ではなく幸せな一年を目指す:兵庫

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[1.31 兵庫県高校新人大会3回戦 柳学園高 0-2 滝川二高 赤穂海浜スポーツセンター]

 平成27年度兵庫県高校新人サッカー大会が31日に行われ、柳学園高と滝川二高が対戦。前後半に1点ずつ奪った滝川二が2-0で勝利し、6日に行われる準々決勝に進出した。4強入りをかけた一戦では佐用高と対戦する。

「新チームになってすぐなので出来るだけたくさんの選手を使ってあげたい」(松岡徹監督)という理由によって4-0で大勝した前日の県立伊丹高戦から、主将のDF今井悠樹らスタメンを6人を入れ替えてこの試合に挑んだ滝川二。この日が初戦となった選手が多く、緊張が見られたため、試合序盤は「柳(学園)さんが狙い持って、しっかりブロックを作ってやっていた。それに対して足元へのボールが多くなってしまい、効果的に崩せなかった」(松岡監督)。

 それでも前半17分には右サイドでボールを持ったMF持井響太がPAにスルーパスを入れると、フリーで受けたFW溝田大輝がGKと1対1に。PA左から冷静に反対サイドに流し込み試合を動かした。「響太がボールを持ったら、動き出そうと思っていたら、良い感じで前に抜け出すボールが来た」。そう溝田が振り返るホットラインで均衡を崩した滝川二は30分にも2人の連係で好機を演出する。右サイドを抜け出した溝田がゴール前にマイナスのパスを展開すると、今度は持井が右足でゴールを狙ったが、DFがブロック。こぼれた所をMF朴光薫が押し込みに行くも、再びDFに阻まれた。33分には右からのクロスがPAをフリーで抜けた溝田に渡ったが、トラップが大きくGKの下へ。その直後にも2列目から飛び出した持井がPA左からシュートを打ったが、GKの正面に終わった。

 後半は「先制できたことで、気が緩み、入りが悪くなってしまった」(持井)。それでもスピードのあるMF福嶋一輝の投入を機に、DFラインからのロングボールで相手ゴールに迫った滝川二に対し、柳学園は10番のMF青木宏紀を起点に左サイドからチャンスを伺う状況が続く。9分にはパスワークで中央を崩すと、青木がスルーパスを左のスペースへ。フリーで走り込んだFW美濃紅太がゴール前に折り返したボールをMF木原啓吾がスライディングで合わせたが、ゴールのわずかに右。16分にも左クロスがDF倉田隆輝に当たり、ボールはPA中央の青木の下へ。青木が切り返しでDFをかわしたものの、シュートまで持ち込めない。

 ピンチを凌いだ滝川二に再びチャンスが訪れたのは17分。自陣右でのボール奪取からDF名倉圭一郎が左前方へロングボールを展開した。フリーで受けた福嶋がゴール前まで持ち込むと、落ち着いてGKの左下を射抜き、突き放しに成功。試合終了間際には両者、決定機を迎えたが、ともにスコアを動かすことができず、2-0で滝川二が勝利。持井が「内容は良くなかったけど、勝てて良かった」と胸を撫で下したように、ノルマとして掲げた8強入りを達成し、県総体でのシード権を獲得した。

 昨年は県総体を制し、全国総体でも8強まで勝ち進んだものの、最大のターゲットである選手権出場は掴めず悔しい一年に。今年も「例年と比べて力がない。神戸弘陵さんや芦屋学園さんが逞しいので、今から上がっていくしかない」と松岡監督が話すように、決して楽ではない一年と言える。だからこそ、毎年チームがテーマとして掲げる今年の漢字は「幸」に設定。持井は「勝ったら幸せになるし、嬉しかったら幸せになる。でも、幸せという字から一本抜けると、『辛』という字になってしまうので、そうならないようにしたい」と説明する。

 昨年は「県総体と選手権予選では雰囲気がまったく違った。県総体では昨年の漢字に選んだ『祭』という字の通り、勢いがあって準決勝で神戸弘陵に勝った時は負ける気がしなかった。それに比べて選手権予選は驕りもあったのか、勢いに乗れなかった」(持井)。その反省を活かすべく今年は、「雰囲気を良くしようと皆が声を出し、笑顔でやろうと皆で話している。苦しい時に沈むのではなく、笑顔でいれば状態が上がっていくはず」(溝田)となるべく前を向くように心がけているという。「県3冠を絶対に獲りたい」と持井が力強く口にしたように、辛い結果で終わるつもりはない。勝利のみを追い求める、幸せな一年を目指す戦いは幕を開けたばかりだ。

[写真]2点目を奪ったMF福嶋を祝福する滝川二イレブン

(取材・文 森田将義)

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