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[新人戦]新生・東福岡は九州8強入りも課題散見、「全ての質を上げていかないと」

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[2.13 九州高校(U-17)大会第4ブロック最終節 東福岡高 2-1 佐賀北高 鹿児島県立サッカー・ラグビー場C]

 平成27年度九州高校(U-17)サッカー大会(鹿児島)は13日に予選リーグ最終節を行い、第4ブロックの東福岡高(福岡1)対佐賀北高(佐賀1)戦は東福岡が2-1で競り勝った。これで2勝1分とした東福岡は勝ち点7で並んだ大津高(熊本2)を得失点差で下回り、ブロック2位で予選リーグ突破。14日の準々決勝で鹿児島城西高(鹿児島2)と戦う。

「色々な部分で足りない部分が見えてきてしまって、という感じは凄くある。攻撃においても、守備においても全ての質を上げていかないと」。森重潤也監督をはじめ、東福岡のコーチングスタッフの口からは厳しい言葉が相次いだ。選手権で17年ぶりとなる全国優勝を果たし、夏冬2冠達成。どこよりも新チームの始動が遅れたという理由があるにせよ、プレッシャーの中で視野が狭かったり、バタバタして雑なプレーをしてしまう選手もいた。全国2冠という偉業を成し遂げたチームは選手権後も注目され続け、主力ではなかった下級生たちにどこか浮ついた部分も。もちろん、存在感ある動きをしていた選手もいたが、現時点ではチームとして内外が期待するレベルのプレーにはまだ到達できていないという。

 選手権優勝メンバーで新人戦の主将を務めているCB児玉慎太郎(2年)は「ディフェンスの面では細かいプレー、上げるタイミング、球際とか弱かったと思うし、攻撃面でも決定力がなかった。修正点は多いと思います」と厳しい。「先輩を越えるためにはその目標しか無い」(児玉)と3冠を掲げてスタートしたチームはモチベーションは高かった。だが、選手たちも、コーチ陣の目に見合うプレーができていないと感じている。それだけに反省点の多い予選リーグとなった。

 逆転での予選リーグ突破を狙う佐賀北との一戦は、佐賀北が押しこむ時間帯も少なくなかった。コンパクトなブロックを形成し、奪ったボールを10番FW轟木雄基(2年)が確実に収めてくる佐賀北は左MF中島惇貴主将(2年)のクロスからFW前山紘輝(2年)が決定的なヘディングシュートを放つなどチャンスも作りだしてくる。東福岡は怪我の日本高校選抜候補MF鍬先祐弥(2年)に代わって先発したMF青木真生都(1年)や日本高校選抜候補MF藤川虎太朗(2年)がミスの少ない配球。攻め切れないシーンもあってあまり良い流れではなかったものの25分、CKのクリアボールを右サイドで拾った藤川のクロスを左SB小田逸稀(2年)が頭で叩き込んで先制した。

 佐賀北は後半9分に抜けだした前山が決定機を迎えたが、東福岡GK前島正弥(2年)がビッグセーブ。東福岡はMF高江麗央(2年)のクロスにFW佐藤凌我(2年)が飛び込むなど決定機をつくるが、GK福元敦也(2年)の好守もあって追加点を奪うことができない。逆に徐々に勢いを増していった佐賀北は21分、スピード豊かなドリブルで右サイドを駆け上がったSB堀西亮太(2年)のクロスを轟木が体ごと押し込んで同点に追いつく。さらに逆転を目指して士気上がる佐賀北だったが、ここで東福岡は底力を見せる。25分、左サイドへ開いた藤川がPAへクロスボール。これを佐藤が何とか残すと、後方から走りこんできた高江が右足でゴールを破って2-1で競り勝った。

 苦しみながらも勝利した東福岡。昨年のチームは決して前評判の高い世代ではなかったが、それでも日々トレーニングレベルを上げながら、ひたむきに努力して全国2冠を成し遂げるチームへと成長した。児玉は「去年のひたむきさ、謙虚さは意識してやっていこうと言っている。今年は明るさ、元気の良さはいいところだと思っているので、それを加えて謙虚に戦っていきたい」と誓う。小田が「全国制覇したのは自分たちの代じゃない。分析もされると思うんですけど勝ち続けていければいい」と語ったように、あくまで偉業を成し遂げたのは先輩たち。主力半数を残す今年は、積み上げてきたものの上に新たな個性、明るさを加えて目標を達成するチームになる。

 今大会ではライバル校の選手、スタッフたちが「打倒東福岡」への意気込みを口にし、ターゲットを全力で倒しに来ている。その中でまだ期待通りの内容、結果を残すことができていない東福岡だが、森重監督が「来てくれる分、それを乗り越えた時に成長してくれると思う」と語ったように、重圧の中で勝ち続けて成長を遂げる。

[写真]後半25分、東福岡は高江が決勝点となる右足シュート

(取材・文 吉田太郎)

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