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[新人戦]後半5分からの5分間で怒涛の4ゴール!意識高い戦いぶり見せた東福岡が快勝で九州決勝進出!

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[2.14 九州高校(U-17)大会準決勝 東福岡高 6-1 長崎総合科学大附高 吹上浜海浜公園A]

 平成27年度九州高校(U-17)サッカー大会は14日午後、準決勝を行い、全国2冠の東福岡高(福岡1)がFW藤井一輝(2年)の4ゴールなどによって長崎総合科学大附高(長崎1)に6-1で快勝。4年ぶりの優勝へ王手を懸けた東福岡は15日の決勝で大津高(熊本2)と戦う。

 後半、この日2試合目ということもあってか、運動量の落ちた長崎総科大附を完全に飲み込んだ。特に後半5分に藤井が決めた勝ち越しゴールを皮切りに、10分までの5分間で怒涛の4ゴール。嵐のような強風と雨の中で“赤い彗星”東福岡が何度も歓喜の抱擁を繰り返した。森重潤也監督が「全員で守備しなければいけないという意識がこのゲームでついてきたかな」という守備に加えて鮮やかな崩しの連続。前半、マンマークDFと強力3トップを中心とした鋭い攻撃で対抗していた長崎総科大附を全国2冠王者の新チームはねじ伏せて九州タイトル獲得に前進した。

 午前中の準々決勝で長崎総科大附は後半アディショナルタイムにFW宇高魁人(2年)が決めた決勝点によって熊本国府高(熊本1)を1-0で下し、東福岡は地元・鹿児島城西高(鹿児島2)に2-0で勝利。迎えた準決勝で先制したのは長崎総科大附だった。前半2分、右オープンスペースへの展開に右FW右田翔(2年)が抜群のスピードで反応すると、そのラストパスをFW安藤瑞季(1年)が左足ダイレクトでゴールに沈める。東福岡は7分に左サイドを突破したMF青木駿(2年)がシュートにまで持ち込み、そのこぼれ球を藤井が押し込んで同点に追いついたが、長崎総科大附は怯まない。東福岡は相手のプレスにも全く動じずにプレーしていた日本高校選抜候補MF鍬先祐弥(2年)や日本高校選抜候補の10番MF藤川虎太朗(2年)、MF高江麗央(2年)のトライアングルが速いテンポでボールを動かして攻撃するが、長崎総科大附はタイトなディフェンスでボールを奪うと間髪入れずにCB薬真寺孝弥主将(2年)らがスペースへボールを配球。それに走りこむ右田や安藤が得点機をつくり出した。

 14分には中央にぽっかりと空いたスペースへ左FW荒木駿太(1年)がパスを通し、宇高が決定的な左足シュート。14分には前野翔伍(2年)のフィードから安藤が馬力ある動きで一気にDFを振り切ろうとする。東福岡はCB児玉慎太郎主将(2年)が瀬戸際で防いだものの、その後も右田らにシュートまで持ち込まれた。一方、東福岡は左SB小田逸稀(2年)や高江が個人技でシュートまで持ち込むも、1-1で前半終了。それでもハーフタイムに「勝って決勝へ」「走り切れ」という檄を受けたチームは後半、一気に長崎総科大附を突き放した。

 5分、右クロスを藤川がダイナミックな右足ボレーで狙うと、その後の混戦から強引に左前方へ持ち込んだ藤井が左足で勝ち越しゴールを決める。さらに7分に高江の左CKを大外の藤井が右足で合わせてハットトリック達成。止まらない東福岡は9分にも右MF濱田照平(2年)のグラウンダークロスが相手オウンゴールを誘うと、10分には鮮やかなパスワークで会心のゴールを決める。右サイドからパスを受けた鍬先のスルーパスに藤川が反応し、相手を引きつけて中央へ折り返す。DFを振りきって走りこんだ藤井が1タッチでゴールへ沈めて5-1とした。

 記録上では後半のシュート数は10-0。藤井は「相手も疲れていて動きが止まっていた。その中でバランスよく回せて、相手はバランス悪くなって、自分たちはフリーで前向いたりできてチームとしてもよくできたかなと思います」。そして27分には小田と高江の連係で左サイドを崩し、ニアサイドへ飛び込んだ交代出場FW佐藤凌我(2年)が左足で6点目のゴールを奪った。予選リーグ3試合で先発しながらも、決勝トーナメントでは藤井と代わって先発から外れていた佐藤の意地の一撃。競争心を高めて結果を残して選手たちに対し、森重監督は「ポジション競いながら選手層が厚くなってくれればいいと思う」と期待を寄せた。

 また、前日の佐賀北高戦はコーチ陣から攻守ともに厳しい評価を受けたイレブンだが、自分たちの課題を見つけてその点について話して、高い意識をもって臨んだこの試合は少ないタッチ数でのシンプルなパス交換に多くの選手が絡んでゴールを奪ったほか、僅かな隙を与えれば失点するような長崎総科大附のカウンターに対して高い守備意識で守りきるなど、チームにとって積み上げたものも多い勝利だった。全国2冠王者に対して全力で立ち向かってくる強豪たちとの連戦に森重監督は「いい経験が積めていると思います」。成長する全国王者は予選リーグで引き分けた大津との決勝を制して、またひとつタイトルを加える。

[写真]後半7分、東福岡は藤井(左)が3点目のゴール

(取材・文 吉田太郎)

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