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「面白いから」不惑を過ぎた伊東がこだわる現役

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 41歳になったMF伊東輝悦は新天地をブラウブリッツ秋田に求めた。「(所属チームは)北上しているからね。どんどん寒くなるけど」。不惑を過ぎたベテランMFは苦笑いを浮かべながらも、充実感を漂わせた。

 J1で初の500試合出場を超える出場選手になるなど、J創世記から活躍した伊東。18年在籍した清水を2010年に離れると、甲府を経て、14年に長野に移籍し、J3に活躍の場を移した。しかし、長野での2年間のリーグ戦の出場は通算11試合にとどまった。そして15年オフに長野から契約満了が伝えられた。突き付けられた現実。ただ、41歳の選択肢に「引退」という二文字はなかった。

 何が伊東をピッチに向かわせるのか。「面白いからですよ」。返ってきた答えは単純明快だった。

「面白いからですよ。プレーするのが。ただこればっかりはプレーする場所を与えてくれないと出来ないことなので、こういう機会を与えてくれたブラウブリッツには感謝しかないですけど。サッカーなのでしんどいことも多いですけど、基本的にはやっぱり面白いから」

「体が続くかぎり?そうですね。やれたらいいかなと思いますけど。体も特別悪いところはないですし。しんどいくらいじゃないですか(笑)。常にスタンバイOKの状態ではいたいなと思うし、ずっとその思いではいます。あとは決めるのは監督。体調は問題ないですし今年に限っても今のところ順調です」

 秋田の今季のポスターは、伊東がモデルになって作成された。さらに目を引くのがキャッチフレーズ。「元日本代表伊東、マイアミの奇跡を秋田で起こす」と記された。「キャンプに行ってこれが張ってあったから、何事だと思って」。“大役”に照れ笑いを浮かべるしかない様子だ。

 1996年のアトランタ五輪初戦のブラジル戦、日本は伊東のゴールによって、「マイアミの奇跡」と呼ばれる大金星を挙げた。20年の時を経て、現役を続けているのは、伊東とGK川口能活のみとなった。その川口は今年からSC相模原に籍を移し、初のJ3に参戦することが決まっている。ライバル意識は「特にない」と話すが、「実際ピッチに立てば負けたくない」と闘志をたぎらせる存在。プロ24年目のシーズンに刺激が加わった。

(取材・文 児玉幸洋)

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