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今年も高校選抜の10番がドイツで輝き放つ、MF中村健人「今回チャンスだと思っている。目立ち続ける選手に」

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[2.20 NEXT GENERATION MATCH U-18Jリーグ選抜 1-1 日本高校選抜 日産ス]

 日本高校選抜の10番を背負い、主将を務めるMF中村健人(東福岡高)が欧州遠征への意気込みを口にした。ダブルボランチの一角として先発したこの日は、1学年下のU-18Jリーグ選抜とドロー。「特に先発した11人は(円陣で)『勝ちにこだわってやろう』と話していた。(相手の)年齢は年下でフィジカルは自分たちの方が上だった。勝ち切れなかったのは悔しいですね」と唇を噛んでいたが、ドイツで開催されるデュッセルドルフ国際ユース大会へ向けて問われると表情を変えて「ヨーロッパまでにはチームを完成させて、個々が力を出して、スカウトマンの目に付くくらいチームを完成させたい」と力を込めていた。

 昨年、日本高校選抜の10番を背負ったMF渡邊凌磨はデュッセルドルフ国際ユース大会でベストMFに選出。ドイツやブラジルのクラブが関心を示し、その後練習参加を経てインゴルシュタット(ブンデスリーガ1部)のU-23チームに加入している。海外挑戦を実現させた前任者の存在は中村の意識を高めている。「あれを見て自分も刺激になりましたし、自分の夢っていうか、ドイツでやることが自分のひとつの目標なので、そういう意味では今回チャンスだと思っている。キャプテンとしてやりながらもアピールしていきたい」と誓った。

 この日、高校選抜のダブルボランチとトップ下は中村とMF鍬先祐弥、MF藤川虎太朗という東福岡高の3人によって構成されていた。昨年度の全国2冠を果たした中盤トリオに「絶対的な自信がある」と中村。その中で中村はサイドへ綺麗な弾道のボールを配球し、1タッチなどテンポのいいパスワークで相手の守りを剥がしていた。まだ他校の選手とはボールの運び方などが異なるために、それぞれの特長を活かしきれていないと感じている。だが、これから連係を高めてよりそれぞれが持ち味を発揮できるようにする。

 また、この日印象的だったのは守備面でのハードワークだ。飛び出して行こうとする相手にスプリントしながら付いていってチャンスを消したほか、厳しいチェックで相手ボールを引っ掛けるシーンが少なくなかった。これは課題克服への意欲の表れだ。「もっともっと運動量を増やしたり、ハードワークをしていきたい。(指導者や家族に)『オマエは自分より下と思った相手に全然本気を出さない。100パーセント出さない』と言われていて、自分もその通りと思っている。今は1試合やり通すことを貫いていきたい。自分の中では勝負所というか、相手の一番強いところで力を使いたいからそれまでに疲れないようにコントロールしていたつもりなんですけど、スカウトマンだったりはいつ見ているか分からない。もっとインパクトある選手、目立ち続ける選手になりたい」。全国高校選手権では決勝の2得点のほか、ラストパスやそのひとつ前のパスなど東福岡の得点のほぼ全てに絡み、チームを17年ぶりの日本一へ導いた。そのMFは自分の課題を克服して、どの試合でも常に目立つ存在になる。昨年の渡邊に続いて、今年も日本高校選抜の10番が世界の強豪相手に輝きを放つ。

(取材・文 吉田太郎)

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