beacon

PK失敗の小野瀬を励ますカズ「蹴った勇気を賞賛したい」

このエントリーをはてなブックマークに追加

[3.6 J2第2節 横浜FC 0-2 松本 ニッパツ]

 少し意外な姿だった。2点ビハインドの後半31分、横浜FCはPKを獲得した。キッカーに名乗りをあげたのは、MF小野瀬康介だった。得点を決めることができれば、1点差になり、逆転できる可能性も十分。しかし、22歳のシュートは無情にもクロスバーを越えていった。この絶好のチャンスを逃した横浜FCは、開幕2試合連続ノーゴールで連敗を喫した。

 この試合、FW三浦知良はベンチ入りしたものの出場機会がなかった。ベンチから見守った試合を振り返って、開始直後に松本山雅FCに与えた先制点が試合を難しくしたと振り返る。

「山雅のスピードあるサッカー、それとJ1で戦ってきた経験もうちとは違いますし、自信も違います。その中で開始30秒くらいですか? そこで失点してしまうと、どうしても向こうの勢いに勝てません。あれを押し返せるだけの力が、前半は特にありませんでした。あそこは絶対に与えてはいけない点だった。あそこで自分たちが(ゴールを)与えなければ粘れると思うし、向こうは1点取れば勢いづく。その勢いを止めることはなかなか難しいと思う」

「そこから0-2になった中で相手が引いてくれたから、うちも(ボールを)回せるようになってチャンスもできましたし、PKの場面もありました。あそこで『たら、れば』になりますけど、PKが入っていたら、またこっちに勢いが出たと思います。でも、入らなかったことで、(松本が)強固な守備になったと思います」

 試合の流れを一気に振り返ったカズは、PKのキッカーを務めた22歳についても触れた。

「(小野瀬)康介もああやって『自分で蹴る』って言って蹴りました。誰が蹴っても外す可能性はあったし、彼の蹴った勇気を賞賛したい。自信を持ってやってほしいです」と、PKに失敗したことをネガティブに捉え過ぎないようにとアドバイスした。

 そして、27歳年下の小野瀬にさらなる奮起を求めた。「彼の場合、『PKを外しても気にするな』と言うと、そのまま受け止めて、『外してもいいんだ』と思っちゃうところがあるのでね。だから、『(この失敗を)糧にしてくれ』と言わないといけない(笑)。でも、アイツらの年代が、こういうところで決めて、チームを引っ張っていかないと、このチームは強くならない。失敗を責めるのではなく、蹴る勇気を認めてあげる。ああいうところで蹴ろうと思ったんだから、あとは決めること。決められなかったら、練習をするしかない」と、熱く語った。

 残念ながら、カズのコメントを取っている際に小野瀬はミックスゾーンを通り抜けてしまい、言葉を聞くことはできなかった。だが、試合中も持ち味のドリブルで仕掛ける姿を見せ、プレーでチームを引っ張ろうとしていた小野瀬は、この日の失敗をこれから取り返してくれるはずだ。

(取材・文 河合拓)

●[J2]第2節 スコア速報

TOP