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関西学院大の新主将DF米原、昨季四冠も挑戦者としての姿勢崩さず

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 昨季四冠を達成した関西学院大の新主将はDF米原祐(3年=作陽高)に決まった。関西選手権、関西学生リーグ、総理大臣杯、全日本大学選手権(インカレ)とタイトルを総なめにした次のシーズンを担うことに、プレッシャーがあるのかと思いきや、DFリーダーは「不安はないですね」と口にする。

 昨季のチームからエースFW呉屋大翔(→G大阪)と、守備の要・DF井筒陸也(→徳島)主将が抜けた。4年間を通じてチームを支えてきた攻守の要が去り、今季は井筒とCBを組んでいた米原はもちろん、呉屋を欠いたインカレ決勝でハットトリックを決めたFW出岡大輝(3年=G大阪ユース)により大きな期待がかかることになりそうだ。

 新チームについて「たしかに戦力的には去年より落ちるのはあるんですけど……」と口を開いた米原だったが「でも今年は、全員でやるサッカーというスタイルを全員が意思統一できているので。誰かひとりに頼るのではなく、全員で攻撃も守備も連動していくというのができれば、去年とは形は違っても、いい形のチームになると思います。不安はないですね」と言い切った。

「去年の結果をプレッシャーにするのではなく、今年は今年のメンバーでしかできないやり方があると思う。そのスタイルで今年も全力でタイトルを取りにいきたい」

 強力なキャプテンシーを持っていた井筒のあとを継いでの主将就任。プレッシャーがあるのかと思いきや「自分と陸くん(井筒)は正直タイプは違うので、陸くんは頭もキレて何でもできるタイプなんですけど、自分は気持ちを見せて引っ張っていくタイプ。陸くんの真似をしようとするのではなく、自分のやり方でやっていこうと思います」としっかりと足元を見つめている。

 2015シーズンの関西学院大は“挑戦者”として一年間を戦い抜き、目の前の試合へ取り組んでいった結果、手元に残ったのが4冠という栄光だった。インカレで頂点に立つまで一切おごることはなく、一瞬たりともチームとして隙をみせることはなかった。

 というのも、前年度2014シーズンのインカレ決勝で流通経済大に0-1で敗れたことが、原動力だったからだ。どんなにタイトルを取ろうとも、年末のインカレで優勝カップを掲げるまで、誰一人として満足はしなかった。

 実際に、成山一郎監督をはじめ選手たちは、流通経済大に敗れたインカレ決勝の試合記録を見ては、悔しさを思い出して戦い続けた一年間だったと明かしている。

 2016シーズンは年間四冠の王者として、他チームから挑戦を受ける立場になるが、関西学院大の“挑戦者”としてのスタンスにぶれはない。米原は「去年は結果を見れば四冠ですけど、一試合一試合を死に物狂いでやっていて、気がついたら四冠という感じでした。だから今年もそれぞれの大会で、まずは一勝一勝にこだわって。全力でやっていきたいと思います」と言う。安易に連覇と口にするのではなく、目先の一戦を見つめている。

 躍進を遂げる関西学院大だが、選手たちの胸にはいつまでも挑戦者であるという意識が根付いている。何度頂点に立とうと満足することはせず、常に次の目標へ向かって突き進んでいる。だからこそ、これだけの結果を出すことができているのだろう。そして、それは確実に後輩たちへ受け継がれている。

 なお米原自身は、今月6日まで行われていた第30回デンソーカップチャレンジ宮崎大会に関西選抜の一員として参加。DFリーダーとして関西の個性溢れる実力者たちをまとめあげると、3年ぶりの優勝へ導いた。そして活躍が認められ、全日本大学選抜入りを果たした。

 下級生中心の全日本大学選抜チームにおいて、抜群のキャプテンシーを持つDFにかかる期待は大きい。米原は「ここに選ばれたからには、チームに貢献しないといけない。自分が必要とされていることをしっかりと(マレーシア)遠征で出して、チームへ貢献できるように。日韓戦で勝利できるようにやっていきたい」と力を込めた。

 年間4冠を達成しながらも、あくまで新シーズンも挑戦者として挑み続ける関西学院大。新リーダー米原の下、ただひたすらに勝利を求め続ける。

(取材・文 片岡涼)

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