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気持ちくん2世? 「ファイヤー!」と叫んだ全日本大学選抜DF今津「たまに出す裏技」

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[3.20 デンソーカップ第13回大学日韓定期戦 全日本大学選抜2-1全韓国大学選抜 等々力]

 突然響き渡った「ファイヤー!」の声に静まり返っていたスタンドが沸いた。1点を先取された直後のプレー、全日本大学選抜DF今津佑太(流通経済大2年=流通経済大柏高)は右サイドの深い位置で「ファイヤー!」と叫びながらボールをクリアした。バックスタンド目前で見せた熱いプレー。スタンドからは笑い声が巻き起こった。

 この場面について、今津は「あれはたまに出す裏技なんです」と説明。「チームが押し込まれて、キツイ時間が続いていたとき、少しリラックスじゃないですけど、“いけるぞ”というのを表現しようかなと思って。完全な裏技です。あのシーンは押し込まれていたので、耐えるぞというメッセージも込めて言いました」と力説した。

 昨年末に行われた全日本大学選抜選考会でも、一人声を張ってはアピールしていた今津。この日の試合でもブレることなく、力強い声でその存在感を示していた。スタンドから笑い声が起きようと、今津には関係ない。「スタンドの人はあいつバカだなとか思ったり、笑ったりしていると思いますけど、こっちは真剣に『ファイヤー!』って言ってますから。あいつ戦っているじゃんというのを示したい」と言うとおりだ。

 押し込まれる場面が多かった全日本大学選抜だったが、今津とDF鈴木準弥(早稲田大2年=清水ユース)のCBコンビが身体を張って、寸でのところで相手の攻撃をストップ。今津はセットプレーでは攻撃参加もみせ、打点の高いヘディングシュートで見せ場もつくった。耐え続けた全日本はラスト5分で2点を奪っての逆転勝利。1失点に凌いだ結果、手にした勝利だ。

 昨年度には総理大臣杯と全日本大学選手権を制し、2冠を達成した流通経済大では、“気持ちくん”こと、主将のDF鈴木翔登(現・熊本)が声を張り、最終ラインを統率していたのが印象的だった。当時、1年生だった今津は鈴木とCBでコンビを組み、日本一に貢献していた。

 今津は「翔登さんを尊敬していました。あの人から学ぶものは大きかった。特別上手いとか速いとかではないけれど、何ができるかっていったら、そういう気持ちや声の戦う部分しかないと思うので。翔登さんは意識していますよね」と口にし、「言っちゃえば、自分は(気持ちくん)2世ですよね」と笑った。

 最終ラインから味方を鼓舞する今津。チームがどんな劣勢に置かれても、後方からその熱い声が響き続ける限り、チームが下を向くことはない。全日本大学選抜の宮崎純一監督(青山学院大)から“太陽神”とキャッチコピーを授けられた今津がチームを明るく照らし続ける。

(取材・文 片岡涼)
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