beacon

プレミア首位は「あり得ないこと」 岡崎が目指す“型破りな本能”

このエントリーをはてなブックマークに追加

 プレミアリーグで首位をひた走るレスター・シティでレギュラーとしてプレーしているからこそ、感じ取れることがある。「すべてが噛み合って、あり得ない状態になっている」。クラブ史上初のリーグ制覇に突き進む現状をFW岡崎慎司は率直に言い表す。それでも「代表はまた別の場所。いつもどおり結果を出しに来ている」と、気持ちはすでに切り替わっている。

「どこに行っても、その試合その試合で結果を出さないといけない。前節は点を取っていないし、プレミアリーグでは今季、5点しか取っていない。いつも浮上のきっかけを探している」

 余裕や慢心はない。常に危機感と背中合わせでいるからこそ、14日のニューカッスル戦で決めたバイシクルシュートについても「あれだけを切り取っても……。ああいうのが増えてくればいいと思う」と淡々と話す。

 シーズンを戦う中で迷いも吹っ切れたようだ。14年のブラジルW杯、15年1月のアジア杯。日本代表として結果を残せない中、心身ともに疲弊していた。

「今、考えてみれば、去年も一昨年もそうだけど、W杯後は疲れている自分がいた。日本がどうすれば勝てるのかを考えて、自分自身を追求するというより、『なんで勝てないのか』『なんで勝てないのか』の連続だった」

 しかし、今シーズンに入ってレスターがプレミアリーグで快進撃を続ける中、「初心というか、『自分がうまくなりたい』『自分はもっとできるんじゃないか』という貪欲さが強くなってきている」と自己分析する。好調なチーム、躍動するチームメイトに触発されるように、岡崎自身も新たな境地へと踏み出そうとしている。

「チーム自体がすごいスピードで上まで行って、それを直に見ていると勉強になる。チームは一人ではなく、全員の力が噛み合って勝てるんだなと」。クラブでの経験をどう代表に還元するか。そう問われた岡崎は「一言で言ったら、型にハマるようなプレーをしていたら勝てないということ」と答えた。

「もちろん規律を守るところは全員がやらないといけないけど、結果を出す選手というのはある意味、ぶっ飛んでいる。みんなが(監督に)言われたことだけをやっていたら、この順位にはいない。共鳴するというか、みんなが本能でサッカーをやって、それが勝手に連動するようになれば日本代表も強くなる。みんながみんな遠慮している場合じゃない」

 バヒド・ハリルホジッチ監督は17日のメンバー発表会見で岡崎について「本当に模範的な選手」と、そのハードワークを高く評価し、「私のサッカー人生でもこのように頑張る選手はまれだ」と絶賛した。その一方で「彼とはよく冗談で言うが、『レスターにいるときは守備的MFだね、もしくはセンターバックだね』と」ともジョークを飛ばした。

「それは監督に会ったときにも言われた」と語る岡崎は「役割はいろいろあるけど、自分が求めているのはゴール。点を取って、監督に『どうだ』というのを見せたい」と力説。日本代表のセンターフォワード候補にはFW金崎夢生やFWハーフナー・マイクといった新たな戦力も加わったが、「自分もそのポジションを取りたいし、単純に結果の勝負だと思っている。自分の存在を結果で見せないといけないし、だれにも負けたくない」と意気込んだ。

(取材・文 西山紘平)
●ロシアW杯アジア2次予選特集
●ロシアW杯各大陸予選一覧

TOP