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父の背中を追う覚悟、全日本大学選抜GK前川「日本代表に少しでも近づけたら」

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[3.20 デンソーカップ第13回大学日韓定期戦 全日本大学選抜2-1全韓国大学選抜 等々力]

 来季のプロ入りが確実視される190cmの守護神は、次なる目標を見据えると「日本代表に少しでも近づけたらなと思います」と言い切った。元日本代表GK前川和也氏を父に持つ全日本大学選抜のGK前川黛也(関西大3年=広島皆実高)。日韓定期戦で先発すると最小失点に抑え、2-1の勝利に貢献した。

 立ち上がりにはゴールエリア内で相手FWをかわそうとし、奪われるミスもあったが、徐々に落ち着きを取り戻すと冷静にプレー。中盤へ瞬時に素早いパスをつけるシーンなどでは判断の良さも光った。

 前半26分にはカウンターからクロスを入れられ、これがゴール前のDFに当たりコースが変化。不運な形で先制点を与えたが、その後も気落ちすることなくプレーを続けた。「相手がボールを握っている時間帯が多かった。その中で励ます声を意識してかけたりしていました」と言う通りだ。

 悪い流れのなかでも1失点で耐え切ったチームは、終了間際の後半42分に1-1に追いつくと、同44分には逆転に成功。2-1で勝利を収めた。フル出場した前川は「まだまだ不安なところもあったし、韓国にペースを握られる時間帯が多かった。それでもああいう形で失点しても、勝てたことは良かった」と課題を挙げながらも勝利を喜んだ。

 前川は、3月上旬に行われていたデンソーカップチャレンジサッカー宮崎大会に関西選抜の一員として参加する予定だったが、インフルエンザの影響で欠場していた。本来ならば、日韓定期戦を戦う全日本大学選抜は、デンチャレの“優秀選手”という意味合いを持つ編成。それでも前川はいわば特例に近い形で、今回の選抜チーム入り。デンチャレを欠場したものの、昨年のユニバーシアード出場などによる経験値の高さや、選抜活動での実績が評価されたという。

「関西選抜に出ていないのに呼んでくれて、ありがたいし、いいチャンスだと思った」と選出当時の心境を振り返ったGKは「このチームでは日韓定期戦が目標だったので、そのなかで少しでも勝ちに貢献できたかなと思います」と控えめに語った。

 所属元の関西大は今年1月末で島岡健太監督が名古屋グランパスのトップチームコーチに就任したために退任。新たに大学OBで元G大阪の前田雅文氏が監督へ就任することになった。

 大学最終学年で迎えるシーズンに指揮官交代という“変化”があったものの、前川は「不安は無いです。今までどおりに関西大は選手でチームを作っていくというスタイルなので。そこは変えずに。ただただ優勝というところを目指してやっていきたいです」と言う。今季は守護神としてだけでなく、関西大の副将としてチームを支えていく。

 2010年には全日本大学選手権(インカレ)を制した関西大だが、以降の全国大会では無冠が続いている。だからこそ前川は「今のところは優勝はもちろん、全国大会へ出場ができていないので。総理大臣杯やインカレへの出場プラス優勝をチームとして目指してやっていきたいです」と力を込めた。

 昨年はセレッソ大阪の特別指定選手として登録されていた前川。今後の進路も注目されるが、リオ五輪世代でもある190cmのGKは目標について「プロ入りのところは置いておいて、自分としては日本代表に少しでも近づけたらなと感じます」とコメント。父の背中を追う覚悟をのぞかせた。

(取材・文 片岡涼)
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