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[MOM1729]広島皆実MF藤井敦仁(2年)_転任する指揮官の前でエースナンバー「7」が“オシャレ”に延長V弾

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[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[3.21 中国新人大会決勝 広島皆実高 2-1(延長)瀬戸内高 広島皆実高G]

 自らエースに名乗りを挙げたMFが優勝決定弾を叩き込んだ。1-1で突入した延長前半7分、広島皆実高はDF小林拓真(2年)のインターセプトを起点にFW赤川誠(2年)が右サイドを抜け出す。そして、赤川が出したラストパスをペナルティアークで受けた背番号7が、スライディングタックルに来たDFを切り返しで鮮やかにかわして右足一閃。決勝点となる一撃がカバーしたDF2人の間を抜けてゴールを破った。

 殊勲のゴールを奪ったMF藤井敦仁(2年)は「いつもゴール前ではなぜか落ち着いていられるんで。前回の県新人戦の瀬戸内戦もああいう形だった。ゴール前で落ち着けるという、自分の得意なプレーだと思います」。同じく延長戦にもつれ込んだ県新人戦準決勝・瀬戸内戦でも同じように1人かわして決めていたという藤井。昨年、総体予選決勝、選手権予選決勝でも決勝点を決めているMFが再び決勝点を叩きだしてチームを優勝へと導いた。

 恩師の前で“オシャレに”決めた。広島国泰寺高への転任が発表され、この試合が広島皆実でのラストゲームとなった河江俊明監督の前で決めた決勝点。「入学してから2年間凄くお世話になったし、自分も凄い期待してもらっていたというか、いい声がけをしてもらっていた」という指揮官への感謝を示すゴールだった。チームの意図が見事に合い、連動した動きでフィニッシャーの藤井をフリーにしての決勝点。DFを鮮やかにかわして決めたゴールについて藤井は「先生は『ゴール前でオシャレに』って結構言うんです。守備の面では身体張るとか具体的な指示が多いんですけど、攻撃は自分たちのやってきたことをやって自由に、と。皆実の選手は頭が良くて、判断力があって、色々な選択肢を持てると思う。それが合えばいい形で点が入りますし、きょうのゴールも“オシャレ”にという感じです」と笑った。

 藤井は一瞬でDFの逆を取る上手さと推進力もあるドリブル、着実に成長を見せているパス、そして抜群の得点力を兼ね備えた注目アタッカー。1年時の全国総体4試合にすべて先発出場するなど下級生時からチームの主軸を務めてきたMFは今年、広島皆実の7番を背負う。「7番という背番号は代々、皆実のエースがつけてきたので、今年は自分から河江先生に『7番つけさせてください』って言って。(エースとしての)自覚というのは最初から持っている。背番号に恥じないプレーをしていきたい」。自ら立候補して背負っている7番。この日は、そのエースが見事に試合を決める活躍をしてのけた。
 
「今回の優勝に満足せずにもっともっとレベル高く意識し合って県とか中国だけでなく、全国で戦えるチームや選手になりたい。(自分の役割は)点を取ることが一番。あと、自分は副キャプテンなんですけど、今回の大会では声でもチームを盛り上げることを意識した。キャプテンの有働(周平)に全部任せるのではなくて、チームを鼓舞したり、ゴールでチームを助けたり、チームに貢献できる選手になっていきたい」。もう1ランク上のステージで戦えるポテンシャルを持つ才能。河江監督も「今年は彼が点取るか。去年もそうですけれど、彼が最後いい仕事をしてくれないと。良くなったと思います。本当に良くなった。敦仁には期待しています。(もう1ランク上の選手)そうなってほしい」と期待したエースがチームを目標である日本一へと導き、自身の評価をさらに高めることができるか注目だ。

[写真]延長前半7分、広島皆実はMF藤井が右足で決勝ゴール

(取材・文 吉田太郎)

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