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日本vsアフガニスタン 試合後のハリルホジッチ監督会見要旨

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[3.24 W杯アジア2次予選 日本5-0アフガニスタン 埼玉]

 日本代表は24日、W杯アジア2次予選でアフガニスタン代表と対戦し、5-0で快勝した。前半43分、FW岡崎慎司が技ありの先制点を決めると、後半13分にMF清武弘嗣が国際Aマッチ2ゴール目となる追加点。後半19分にはオウンゴールで加点し、その後もDF吉田麻也、FW金崎夢生が得点した。

以下、試合後のハリルホジッチ監督会見要旨

バヒド・ハリルホジッチ監督
「本当に美しい勝利だったと思う。選手は勇敢に戦ってくれた。やる気と、私が要求したアグレッシブさを出してくれた。試合の入りはパスが慌てたところもあったが、ボールがかなり速かったし、滑っていた部分もあった。選手たちがうまくやろうとしすぎていた。そのためにパスが速すぎたり、判断が早すぎたりして、正確さを欠いた。アフガニスタンもかなり引いて守備をしていた。仕留めるところが少し成功しなかったが、相手のキーパーも3、4回、良いセーブをした。

 今日評価したいのはチームスピリットが素晴らしかったことだ。このようなアグレッシブさを私は要求していた。相手は我々の16mに入ってこれなかった。FKは2、3回避けることができたかなと思うが、守備のところは全員がうまくやってくれた。初めてこのオーガナイズを試し、新しい選手にもチャンスを与え、何人かの選手を休ませることができた。選手には『ブラボー』と言った。サポーターのみなさんも喜んでくれていることを期待したい。次は2次予選最後の試合に向けた準備をしないといけない。さらに厳しい相手になるが、最後の試合はファイナルの気持ちでやらないといけない。最後の試合に勝ちに行くトライをしたい。目的はかなり大きなものを用意している。まずは勝利、そして失点しないことを続けたい」

―ハーフナーが入って新たなオプションを試したが、5点目に絡んだハーフナーと金崎の評価は?
「マイク(ハーフナー)のような選手を使うときは彼の長所を生かさないといけない。彼の長所は空中戦、そして頭で折り返すところだ。ただ、日本代表はここ数年、このようなプレーを習慣化していなかった。彼に向けてのセンタリングを多くしたが、10分ぐらい成功しなかった。これはオプションだ。W杯予選という厳しい戦いの中でこういったオプションを試すことができた。2トップを使うときは、一人がパスをして、一人が点を取るというお互いの補完関係も必要だ。

 今日はチームスピリットが素晴らしかったことに尽きる。多くの喜びもあったし、野心もあった。(金崎)夢生に関しては新しい選手になるが、戦うところ、存在感を出して、よくボールを呼び込む動きをしていた。アカデミックなゴールではなかったかもしれないが、点を取った。それはうれしい。もう2、3点取れたかなと思うが、我々とプレーし始めたばかりの新しい選手だ。経験と自信がもう少し必要かなと思うが、こういった選手を評価してもいいと思う。ハーフナーとはまた違うソリューションの一つだと思う」

―2トップを今後も使っていける手応えは? 1、2点目は縦に速い攻撃から生まれたが?
「初めてのオーガナイズだったが、すべてがパーフェクトだったわけではない。少し慌てた状況もあったし、我々の右サイドを彼らはしっかり封じたと思う。我々は左サイドの2人のプレーに可能性が少しあったが、(柏木)陽介と(長友)佑都のところが少し慌てたかなと思う。少し判断も悪いかなというところがあった。私はグラウンダーのセンタリングを入れるよう叫んだ。FWが止まった状態でプレーしていて、フリーの選手を探すのは難しかったと思う。GKとDFの間のゾーンにセンタリングを送るべきだった。素晴らしいプレーをやろうとしすていたかなと思う。1回のトレーニングで新しいオーガナイズを試した。2試合目はもっとよくなると思うし、数か月かけないと、このオーガナイズはうまくいかない。私は時々はこうしてリスクも負う。ただ、時間をかけてやっていかないといけない。

 1点目は難しかったと思うが、そのあとは簡単になった。アフガニスタンの選手たちも少し疲れていたと思う。我々のプレースピードがどんどん上がっていったので、そのあとは試合は終わっていた。この勝利は自動的に来たわけではない。我々は追求していた。5-0で勝ったが、私はもっとプレーのスピードを上げろとずっと叫んでいた。できるだけ点を取ろうと話していたので、もっともっと点を取ってほしかった」

―選手が前半途中に集まって話していたが?
「選手同士で話す権利はもちろんあるし、私が毎回これをやれと言うわけではない。選手にも責任を持ってイニシアチブを取ってほしいと思っている。すべてを説明できるわけではない。おそらくこの2日間で50回ぐらいのミーティングを行った。スタッフのミーティング、グループのミーティング、選手のミーティング。グラウンドにいる時間は少ないので、個人、グループ、全体でたくさんのディスカッションをした。たくさんのスピーチを重ねてきた。

 チームスピリットが評価されるべきだと思う。最後の5分も彼らは前からプレスに行き、相手は我々の16mの中に入れなかった。チームスピリットを見せることができた。チームはそれによって向上できる。私は選手に説明するが、彼らも質問してくる。すべてのアクションをデザインすることはできない」

―個々でプレーに差があったのは理解力の差か、コンディションの差か。
「バルセロナというチームでさえ、1回目の試合で理想の形はなかなか出せない。我々が考えているよりフットボールは難しい。特に前のプレーは一番難しい。ディフェンスのブロックをつくるほうが簡単だ。相手は我々の30mに入れなかった。W杯予選でそういうことが起きた。最終ラインだけでなく、全員が関わった。攻撃は少し慌てたり、ボールがよくなかったり、ポジションチェンジできなかったりというのもあった。うまくやろうとしすぎていた。観客のみなさんがどう評価したか分からないが、私たちのアイデアがどうだったか、明日うまくいくのか、もっと先にうまくいくのか、それは様子を見ないといけない」

―今日の試合で新しいやり方を試した理由は?
「監督というのは時々スペシャルな考え方をする。なぜかということだが、まず選手たちに相手よりも十分なクオリティーがあるのではないかという判断があった。リスペクトはしているが、もっと強い相手だったら、トライすべきかどうかは分からない。親善試合ならどうか。それはウイだ。私は(0-0で引き分けた昨年6月の)シンガポール戦を忘れたわけではない。選手にも毎回、忘れるなよと言い続けている。『だれも勝利をプレセントしてはくれない』と。トライと言っていいか分からないが、2、3人の選手が遅れて来ざるを得ない状況もあった。彼らをプレーさせるにはリスクがある。そういったことも含めて、いろんな要素を考えて決めた。原口を少し真ん中で使ったのも新しいことだ。柏木を少し前めで使ったり、2人のFWを同時に使ったり、いろんなことにトライした。これでグループが豊富になるのではないかと思う。すべての可能性にトライしないといけない」

―前半43分に1点が入ったが、シンガポール戦のような心配はなかったか?
「みなさんと同じで、シンガポール戦が頭をよぎった。ただ、選手はアグレッシブさ、やる気に満ち溢れていた。5秒さえ惜しまずに努力していた。得点を取るだろうなという確信はあった。だから、そこまで不安ではなかった。選手が疑問を抱き始めるのではないかという心配はあったが、相手が落ちてきたのも見て取れたし、スペースも広がってきていた。本田も準備していたし、(香川)真司も入った。後半はさらにスピードアップしていたので、ロジックな結果だったかなと思う。7点目、8点目が入っていてもノーマルだったかなと思う。ジャーナリストのみなさんにも少し評価してもらえればと思う。全部でなくてもいいが、少しは良いことを書いてもらえれば(笑)。私は批判してもらっていい。ただ、チームを褒めてあげてほしい。今日はチームスピリットが素晴らしかった。このグループを本当に誇りに思う。このチームで成功したいとあらためて思った。

(スタッフからヨハン・クライフ氏の死去を聞かされ)これは良くないニュースだ。世界の歴史上、素晴らしい選手がこの世を去ったという情報が入った。彼とプレーしたこともある。世界選抜の一員としてカンプ・ノウでバルセロナと対戦したとき、世界選抜で同じチームだった。私はスーパーゴールを2点決めたが、審判が私のことを嫌いだったので、この2点を認めなかった。彼は素晴らしいプレイヤーで、創造者だった。いろんなことを現代フットボールにもたらした。本当に天才だった。家族のみなさんに深くお悔やみ申し上げたい。

 それから大仁邦彌会長も今日が最後の試合だった。大仁会長と霜田技術委員長が私にコンタクトを取り、(代表監督に)指名してくれた。私が平穏に仕事することができたのも彼らのおかげだ。深く感謝申し上げたい。原さんも日本サッカー協会からJリーグに移ったが、彼にも感謝している。これからも我々をサポートしてくれる存在だと思うが、大仁会長と原さんにも感謝を申し上げたい」

(取材・文 西山紘平)

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