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[船橋招待U-18大会]東福岡が春の“プレ全国大会”を7発V!

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[4.3 船橋招待U-18大会決勝 東福岡高 7-2 桐光学園高 グラスポ]

 第21回船橋招待U-18サッカー大会は3日午後、決勝戦を行い、昨年度全国2冠の東福岡高(福岡)が桐光学園高(神奈川)に7-2で快勝。優勝した。

 決勝に出場した両校をはじめ、地元の名門・市立船橋高や選手権準Vの國學院久我山高、同8強の前橋育英高などが優勝を争った春の“プレ全国大会”ともに言える船橋招待を東福岡が圧勝で制した。昨年度全国高校総体と全国高校選手権優勝を果たした東福岡に対しては、2月の新人戦九州大会、3月のサニックス杯国際ユース大会、そして今大会でも対戦校の選手たちが「打倒・東福岡」を果たすために目の色を変えて挑戦。王者にとってはこれまで以上に厳しい戦いが続いているが、それでも新人戦県大会、九州大会優勝、サニックス杯はU-17日本代表に決勝で敗れたものの準優勝、そして今大会でも優勝を果たすなど、多くのメンバーが経験値を高めながら結果を残し続けている。

 CB児玉慎太郎主将(3年)は「サニックスではヒガシに対して気合入れてくるチームに少し身構えてというか、立ち上がりがあまり良くないという試合が多かったんですけど。きょうも前半早い時間に点を決めることができましたし、自分たちに向かってくる相手に慣れてきたというか、少しずつ対応することができるようになってきていると思います」と説明。この決勝でも試合開始直後の先制点で主導権を握った。

 東福岡は右サイドから中央へと切れこんだMF福田湧矢(2年)が左足一閃。「シュート自体は、たまたままぐれで入ったんですけど、立ち上がりなので積極的に打とうと思って打ちました」という2年生MFのゴールによって試合開始1分も立たないうちにリードを奪う。対して期待の大型CB加藤優太(2年)を負傷で欠く桐光学園は日本高校選抜MF鳥海芳樹(3年)を軸としたポゼッションで反撃。相手の鋭いプレスの中で勇気を持って繋ぐ桐光学園は4分に日本高校選抜SBタビナス・ジェファーソン主将(3年)の突破からチャンスを迎え、FW鈴木太我(3年)がシュートへ持ち込む。そして19分には相手DFのミスパスをインターセプトしたMF西川公基(3年)がGKをかわして同点ゴールを決めた。

 だが、東福岡は日本高校選抜MF鍬先祐弥(3年)が「自分たちがボールを奪ったあとに自分たちのシャドーの位置が凄くフリーになっていたのでボールを奪ったらそこを見ることを意識していた。前半そこをよく使えていたので展開も楽だったと思います」と振り返ったように、ボールを奪うと日本高校選抜の10番MF藤川虎太朗(3年)とMF高江麗央(3年)の両シャドーを活用。決勝は午前の準決勝に続いてこの日2試合目だったが、奪ってからの切り替えが非常に速い東福岡は藤川と高江を起点とした崩し、また身体能力に長けた左SB小田逸稀(3年)も多く攻撃に絡んで来る中でサイド攻撃も迫力を増してゴールを連発してみせる。

 前半25分、右サイドからカットインしたFW藤井一輝(3年)がニア上へ左足シュートを突き刺すと、26分にはオーバーラップした児玉が連係で左サイドを崩してラストパス。これを高江が左足ダイレクトでゴールへ沈めた。さらに後半5分には高江のスルーパスからMF青木駿(3年)が決めて4点目。選手5人を入れ替えた後の21分には交代出場のFW佐藤凌我(3年)のヘディングシュートで5点目を奪う。
 
 東福岡は後半29分までに計9人を入れ替え、31分には左サイドからのラストパスを交代出場MF濱田照平(3年)が左足でゴール。桐光学園もMF田中雄大(2年)のインターセプトから鈴木がGKの頭上を射抜く左足ミドルを決めて意地を見せたが、東福岡は39分にもFW姫野天輝(3年)のスルーパスから佐藤が決めて7-2で快勝した。今大会、東福岡は予選リーグでライバル・市立船橋に一時逆転されたものの、追いついて引き分け。その他は京都橘高に5-0、帝京三高に7-1、正智深谷高にも3-0と強豪に点差をつけて勝利している。レベルの高い個々がスピードあるパスワークと切り替えの速さなどで相手を凌駕し、他校はその強さを改めて認めていた。それでも、東福岡の選手たちに緩みはない。児玉は「内容としては前半結構攻め込まれる時間があったり。点差は開きましたけれど自分たちの課題も色々と出てきた大会だったと思います。点差ほど実力差がなかったと自分たちは感じています」と引き締めていた。

 全国2冠を成し遂げた昨年度のチームは謙虚な姿勢を貫いて成長。今年の東福岡もその謙虚さを受け継いでトレーニングから日々成長を目指している。森重潤也監督は「こっちの言うことに対して聞く耳を持ってくれる。(近年でも)聞く耳は一番持っているかな」。高校生の中には自分自身が納得しなければ、受け入れることができない選手もいそうなものだが、東福岡イレブンには貪欲に吸収して成長しようとする姿勢がある。福田は「メリハリがあるし、試合前のアップとかみんな盛り上げている。練習の取り組みもいいし、一人ひとりが意見を言い合う。優勝したら、次となるので、余韻に浸ることがない」と説明した。

 1週間後には高校年代最高峰のリーグ戦であるプレミアリーグが開幕。児玉は「去年、大差で負けているので開幕戦しっかり勝ってから勢いつけたいと思っています。(監督の)森重さんもプレミアは甘くないぞと毎回の練習で言っているので自分たちも気引き締めてやっています」。第一目標はプレミア残留。周囲から昨年を上回る全国3冠の期待を受け、選手たちも大目標に「3冠」を掲げる中、まずは目の前の一試合一試合に全力を注ぐ。

(取材・文 吉田太郎)

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