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「失うものは何もない」…リオ五輪出場へ巻き返し誓う横浜FM喜田

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[4.10 J1第1ステージ第6節 横浜FM 0-0 浦和 日産]

 チームに無くてはならない存在となっている。今季は開幕から先発出場を続けるだけでなく、6試合中5試合でフル出場を果たす横浜F・マリノスMF喜田拓也は自身のパフォーマンスに手応えをつかみ始めているようだ。

「浦和はボールを握るのがうまいチームなので、持たれているというより、持たせているという意識を全体で持てればと思っていたし、良い意味での割り切りをチーム全体で持てていた部分もあった」。序盤から浦和にボール保持される展開となったが、それは想定内。中盤の底にポジションを取る喜田も体を張った守備で浦和の攻撃に対応した。そして、前半36分にはMF阿部勇樹のパスをカットすると、「カウンターも一つの狙い目だった」と自ら攻め上がって好機を生み出そうとした。

 しかし、喜田の両脇をMF遠藤渓太とFWカイケが猛然と駆け上がるが、2人は並走していてマークもついていた。ボールの出しどころを探している内に後方から守備に戻ったFW李忠成に奪われて、カウンターの好機をつぶしてしまう。「自分が早いタイミングで預けたり、シュートを打つなら打つ場面だったかもしれない」と反省を口にした。

 今季はここまで全試合先発出場を続けていることもあり、「守備面ではバランスを気にしながらやれているし、周りの選手とのコミュニケーションも取れている。攻撃でも速攻と遅攻の使い分けなどで手応えを感じている」と話すと、「より精度を上げていけるように、そういう面では楽しみながら成長したい」と意欲を燃やした。

 もっと、成長したい――。リオデジャネイロ五輪世代となる喜田にとって、五輪出場は一つの大きな目標だ。発足当初から手倉森ジャパンに名を連ねていたものの、15年10月29日に行われた鳥栖との練習試合で全治6週間の負傷。その影響もあり、16年1月に行われたAFC U-23選手権(リオデジャネイロ五輪アジア最終予選)に出場することは叶わなかった。

 当然、「悔しい気持ちはあった」。しかし、アジアの猛者を相手に見事な勝ち上がりを見せる仲間たちをテレビで見ることで、「1試合1試合たくましくなっていくチームを見て、黙っていられないという気持ちにさせてくれた」と大きな刺激を受けていた。そして、仲間たちがアジアの頂点に辿り着き、五輪出場権を獲得したことで、リオ五輪出場のチャンスは喜田にも残されることになった。

 横浜FMでは主力にまで上り詰めたが、U-23日本代表では「簡単な立場ではないと重々承知している」と語るように、絶対的な存在ではない。しかし、「焦っても仕方ない」と落ち着いた表情を浮かべると、「五輪への熱い思いを持ってプレーしていれば、必ず見ている人には伝わるはずです。失うものは何もないという気持ちで全力でぶつかり、本当にがむしゃらにやっていきたい」と力強く語った。自らのプレーを見せ続け、結果を残し続けていれば、リオへの道は必ず開けると信じてピッチ上で戦い続ける。

(取材・文 折戸岳彦)
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