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いわきからJへの第一歩…新生いわきFCが快勝発進、開幕戦に2668人が詰めかける

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[4.10 福島県社会人2部 いわきFC8-0グロリーズ福島 いわきGF]

 将来的なJリーグ参入を目指して強化を進めているいわきFCが10日、グロリーズ福島と今季戦う福島県社会人リーグ2部の開幕戦を行い、8-0で快勝した。試合前の国歌斉唱を歌手の加藤ミリヤが担当。会場のいわきグリーンフィールドには2668人が詰めかけ、大盛況の幕開けとなった。

 新生いわきFCが好発進を決めた。スポーツメーカーのアンダーアーマーがサポートする形でチーム強化を進めるいわきFCは、今季よりメンバーを一新。最年長でも24歳と平均年齢21.2歳の若いチームに生まれ変わった。また指揮官にはサンフレッチェ広島でプレーした経験を持つ元オランダ代表のピーター・ハウストラ氏を招聘。県2部としては異例の体制で船出した。

 相手チームは昨季、県1部リーグを戦っていた実力派のチームだったが、いわきFCがほぼボールを支配してゲームを進めた。待望の初ゴールが生まれたのは前半14分、左サイドからFW片山紳(22=国士舘大)が上げたクロスをMF新井伶治(22=仙台大)が右足で押し込む。「決めたいと思っていた」。背番号8は一目散にベンチに向かい、選手全員で喜びを表した。

 さらにいわきFCは前半35分、今度は新井のポストプレーからFW菊池将太(22=駒澤大)が右足を振り抜いてゴールネットを揺らす。同40分にはFW宮崎崚平(20=BKSスパルタ・ブロニカ/ポーランド)がエリア内での胸コントロールから右足ボレーを突き刺し、前半だけで3点のリードを奪った。

 後半は相手の足が止まったことでさらに得点が生まれる。後半10分から途中出場したMF吉田知樹(18=明秀日立高)が、出場からわずか2分後の同12分に右クロスを右足で合わせて加点。同18分には左SBの小林勇斗(23=JWFC/タイ)が上げたアーリークロスがオウンゴールを誘うと、同28分には右サイドを強引に突破したMF久永翼(22=駒澤大)のクロスを菊池が華麗なヒールで流し込む怒涛の攻撃を見せる。

 駒大OBホットラインが勝利を決定づけると、後半33分にはまたも吉田が今度は右足で豪快なミドルシュートを突き刺してダメを押す。そして同36分、右サイドから主将DF古山瑛翔(22=NKラドムリエ/スロベニア)がCKを蹴ると、高い打点のDF高野次郎(22=日本体育大)が頭で押し込み、ゴールラッシュを締めくくった。

 試合後、詰めかけた大勢のサポーターの前に立ったハウストラ監督は「結果もうれしいし、プレーもうれしい。何よりこれだけの皆さんが見に来てくれたことが嬉しい」と笑顔を弾けさせた。そして、「ミナサン、アリガトウゴザイマス。サポーターハタイセツデス」と覚えたての日本語であいさつし、会場を盛り上げた。

 しかし、大倉智社長は「結果は良かったが、内容はまだまだ」と表情を引き締める。セレッソ大阪でチーム統括ディレクター、湘南ベルマーレで強化部長や代表取締役社長を歴任した敏腕社長には物足りない試合内容に映ったようだ。「こんなもんかと思われたサポーターがいるのではと不安がある」。ただ、試合途中から太鼓を使った応援が始まるなど、地域のサポートに感謝を語ると、「皆さんと一緒に成長して行ければ」と切磋琢磨を誓っていた。

(取材・文 児玉幸洋)

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