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[MOM1761]鹿島ユースMF井村瞭介(3年)_「守備の人間」自認する189cmアンカーが先制ヘッド

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[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[4.10 高円宮杯プレミアリーグEAST第1節 大宮ユース 0-2 鹿島ユース アミノバイタルフィールド]

 189cmの巨体が宙を舞い、ゴールネットが揺れた。高円宮杯プレミアリーグEAST開幕戦。前年度王者の鹿島アントラーズユースは難敵・大宮アルディージャユースと対戦した。勝負の分かれ目は前半6分のセットプレー。高さの点でアドバンテージがあるのは鹿島。MF井村瞭介は「チャンスになると分かっていた。セットプレーは自分が力を発揮しなければいけないところだし、取ってやろうと思っていた」とゴールを見据え、その言葉どおりに貴重な先制点を奪い取った。

 本来は長身を生かしたヘディングが持ち味のセンターバック。だが、今季開幕を前にアンカーのポジションで適性を探られており、この試合もMFとして先発出場を果たした。相手のダブルボランチに対してマンツーマンマークを敷く中で、どうしても崩れるポジションバランスを、「守備の人間」と自らを評するとおりに中盤の底から懸命に保ち続けた。後半は防戦一方の展開となったが、最後まで中盤のフィルターとして奮闘。2-0での完封勝利に貢献してみせた。

 昨季、鹿島ユースのアンカーを務めたのは主将だった千葉健太。ピッチの内外で絶対的な存在感を見せてチームをタイトルに導いた姿は井村の脳裏にも焼き付いている。「プレーだけでなく、振る舞いや姿勢がすごくて、オーラがあった」。ただ、小柄で確かな技術があった千葉と井村はまるでタイプが違う。「あそこまで技術のあるタイプではないので」と変に模倣するのではなく、自分の“らしさ”を貫く覚悟で試合に臨んだ。

「自分たちの代は去年と違ってスペシャルな選手がいないし、個で違いは作れないと思う。だから一つ一つの球際、ヘッドを負けないようにして、カバーもしていく。そこをやっていくしかないと思っている」

 貫徹すべきなのは、シンプルに頑張る姿勢であり、仲間と助け合って戦い抜く姿勢。王者としてのプライドを発揮する気など最初からない。あくまでチャレンジャーとして臨む。井村が示した姿勢は、新生・鹿島ユースを象徴するものとなりそうだ。

(取材・文 川端暁彦)
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