[4.29 高円宮杯プリンスリーグ関西 第4節　和歌山北高 1-4 大阪桐蔭高 J-GREEN堺]

　高円宮杯U-18サッカーリーグ2016 プリンスリーグ関西は29日、第4節を行い、和歌山北高と大阪桐蔭高が対戦。前後半に2点ずつを奪った大阪桐蔭が4-1で勝利した。

「全国を狙わないといけないし、プレミアリーグの上位にいる東福岡さんや市立船橋さんを倒さないといけない。今年のチームにはそれだけの力があるはず」。永野悦次郎監督がそうポテンシャルの高さを口にする大阪桐蔭が大量得点を奪って、和歌山北を退けた。

　スコアこそ危なげない戦いぶりだったが、出だしは決して良かったわけではない。FWを務めた田村浩都がCBに入るなど、「高校を出てからも、誰とでも上手く関係を保って戦術を作れる選手になって欲しいので、今は上手く行かないポジションや組み合わせを試して、あえて上手く行かない状況を作っている」(永野監督)状態で試合が開始。序盤から自陣でのボール回しによって、試合の主導権を握ったものの、相手陣内では選手同士の距離感やパスが合わない場面が散見し、決定機が作れないまま時間が進んでいく。

　こう着状態を崩したのは、「一番苦しい時とか、チームが上手く行っていない時に点を獲ってくれる」と永野監督が信頼を寄せる主将のFW神崎大雅。17分に中央のMF西矢健人から、左のMF福島裕済と繋いだボールがPA左でこぼれると、すかさず拾ってゴールに叩き込んだ。「ここ2試合チャンスがあっても決められずにいた。そのせいで、拮抗した展開になっていたので、先制点を意識していた」。そう振り返る神崎の見せ場は24分にも訪れ、相手陣内の左中間でボールを持つと、右サイドに大きく展開。受けたMF斉藤尚久がマークをかわせず、フォローに入ったDF神戸康輔に預けると、ゴール前に浮き球を配球する。このボールをPAで神崎が合わせたが、枠を捕えることができない。以降も大阪桐蔭の時間は続き、35分には右サイドの斉藤、中央のFW仲田健人とテンポ良く左に繋ぐと、ラストは福島が左足で合わせて、和歌山北を引き離した。

　対する和歌山北は、反撃に出ようにも「守備が良くなかった上に、奪ってもボールをすぐ失ってしまっていた」(中村大吾監督)ことから攻撃の糸口が掴めず。それでも、37分にはエリア左でFKを獲得すると、ゴール前に入れたクロスを展開。一度は相手DFに弾かれたものの、高い位置で奪い返すと、MF森下聖也が再びゴール前に入れ直し、ファーのFW仲村慧一が合わせたが、サイドネットに終わった。

　後半は各々の役割を再確認した大阪桐蔭の攻撃が改善。神崎、中田の2トップが下がって、起点を作り、サイド突破を引き出したが3点目に結びつかない。和歌山北も、後半15分になって、怪我が明けたばかりの主将MF和田広矢を投入し、反撃体勢に。「チームに勢いをつけるためにドンドン裏を抜けて、前への推進力を出そうと思っていた」という和田のスピードのある突破で、攻撃姿勢を強めたが、32分にクロスを大阪桐蔭のGK藤本諒哉にキャッチされると、素早いスローインからのカウンターで自陣まで持ち込まれ、最後はFW鶴内翔之助にドリブルからのシュートを決められた。和歌山北は38分に後方からのロングボールに反応した和田がトラップで相手DFをかわし、PA左からシュート。GKの脇を抜けたボールをFW畑雅行が押し込み、1点を返した。だが、試合終了間際の44分にはDFのパスミスを大阪桐蔭のFW{{松浦享宏に奪われると、そのままゴール左隅に決められ、タイムアップを迎えた。

　大阪桐蔭は2年連続で全国高校総体に出場しているが、選手権の出場は08年度まで遡らなければならない。ただ、冒頭の永野監督の言葉通り、8年ぶりの選手権出場は悲願ではなく、“ノルマ”。永野監督自身もこれまで2年間務めた大阪国体選抜の指揮を辞して、冬に照準を定めている。それだけ力を入れるのは、「10番をつけている仲田も奈良のトレセン。右SBの神戸も、代表候補に選ばれてたり、肩書を持った選手が今年は揃っている」(永野監督)から。ただ、ポテンシャルの高さだけでは結果には結びつかない。永野監督は「そういう奴らがどんな戦術を作っていくか見てみたい。僕が言って選手たちがやるのではなく、自分たちで作りながら、皆の良さを出せるチームになって欲しい。でも、まだ出来る時間が少ないし、もっと積極的に思い切ってやれよ!と思うことが多い。気取るんじゃなく、男気をもっと出してほしい」とハッパをかける。次節を終えれば、総体予選を迎える。厳しい戦いを乗り越えながら、いかに“男らしさ”を増せるかが今年の大阪桐蔭の鍵になりそうだ。

[写真]2点目を奪ったMF福島を大阪桐蔭イレブンが祝福

(取材・文　森田将義)

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