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黄金の右足が解き放たれるパワースポット…松本MF宮阪が得意の味スタで移籍後初ゴール

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[5.7 J2第12節 東京V 0-4 松本 味スタ]

 もはやパワースポットと呼んでもいいのかもしれない。松本山雅FCのMF宮阪政樹が「自分にとって聖地」と語る味の素スタジアムで、再びその右足を輝かせた。前半8分に直接FKを沈め、移籍後初ゴールで均衡を破ると、後半14分には絶妙なサイドチェンジでダメ押しとなる4ゴール目の起点に。宮阪の右足がチームの3試合ぶりの勝利を引き寄せた。

 FC東京U-15、FC東京U-18から明治大を経て、2012年に山形でプロキャリアをスタートさせた宮阪。ルーキーながら開幕からスタメンの座を勝ち取り、同年のJ2第11節・東京ヴェルディ戦(2-0)で味スタデビューを果たした。先発フル出場で勝利に貢献し、この試合でA契約の条件となる出場時間900分に到達。FC東京のユース時代から憧れだったというスタジアムでプロとしての本格的な第一歩を踏み出した。

 2013年の味スタでの第9節・東京V戦(0-2)は欠場となり、チームも敗れたが、2014年に迎えた同会場での第21節・東京V戦(2-1)は宮阪の独り舞台。ポストを叩く強烈なFKで先制点のキッカケを作り、一度は同点に追い付かれながらも、右足の弾丸ミドルで自ら勝ち越しゴールを奪った。さらに、同年12月に味スタで開催されたJ1昇格プレーオフ決勝の千葉戦(1-0)では、左サイドからのクロスで決勝点をアシスト。宮阪の黄金の右足がJ1の扉を開いた。

 2015年の味スタでの対戦チームはFC東京に変わったが、J1第2ステージ第3節(0-0)ではポスト直撃のFKを見せるなど、両チームを通じて最多の4本のシュートを放ち、スコアレスの展開で一人気を吐いた。欠場した2013年を除き、宮阪はまだ味スタで負けを知らない。

 今季から活躍の場を山形から松本に移しても、味スタが発する不思議なパワーは宮阪のもとに向けられていた。まずは前半4分にPA手前のこぼれ球に反応し、積極的にフィニッシュへと持ち込む。この試合のオープニングシュートでチームを勢いづけると、同8分にPA手前の右側でFKのチャンスを迎えた。

 今節に向けたトレーニングではフィールドの選手に代わって長身のGKたちに壁として立ってもらい、その上を越してゴールを狙うFKの練習をしていたと明かした宮阪。「感覚的には蹴った瞬間に入ったと思った」という右足のシュートは東京Vの壁を越えて急降下し、ゴール右隅を射抜いた。FKの名手は「GKみんなのおかげ」と謙遜しつつ、移籍後初ゴールを喜んだ。

 また、宮阪はプレースキックだけでなく、流れの中でも「自分をうまく使ってもらって時間を作って、守備の薄いところから速く攻める」とイメージを膨らませていたようで、3-0の後半14分にそれを具現化させている。松本がスローテンポでボールを回していた中、宮阪は自陣の左サイドでパスを受けると、間髪をいれずに右足で大きくサイドチェンジ。「欲を言えばもう少し低いボール」と、らしいキックへのこだわりも付け加えたが、右サイドをフリーで駆け上がったMF田中隼磨にピタリと届け、田中の右クロスからFW高崎寛之の決定的な4点目が生まれた。

 宮阪の2得点に絡む活躍もあり、松本は4-0の大勝で3試合ぶりに勝ち点3を獲得。さらに、チームとして4ゴール以上を奪ったのは2014年のJ2第27節・愛媛戦(4-1)以来となった。「ここからまた連勝していきたい」。冴え渡る宮阪の右足が再びチームを上昇気流に乗せていく。

(取材・文 阿部哲也)

●[J2]第12節 スコア速報

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