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[プリンスリーグ関東]引くことなく「捨て身で入った」後半開始直後に2発!桐光学園が川崎F U-18を3-0撃破!

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[5.8 高円宮杯プリンスリーグ関東第5節 川崎F U-18 0-3 桐光学園高 川崎F麻生グラウンド]

 高円宮杯U-18サッカーリーグ2016 プリンスリーグ関東は8日、第5節2日目の3試合を行い、川崎フロンターレ麻生グラウンドでは川崎フロンターレU-18(神奈川)と桐光学園高(神奈川)が激突。ともに川崎市麻生区に位置するチーム同士による一戦は、桐光学園がMF田中雄大(2年)とMF西川公基(3年)、日本高校選抜MF鳥海芳樹(3年)のゴールによって3-0で快勝した。

 3点というアドバンテージも後押ししたか、桐光学園は最後まで足が止まらず、アグレッシブに戦い抜いた。ここまで1勝1分2敗。エースFW小川航基(現磐田)を擁し、全国上位の力を備えていた昨年と比べても「(小川ほど抜きん出た選手はいないが)トータル的には、侵入していくこととかは今年の方が上だと思います」と鈴木勝大監督が評する今年の桐光学園だが、開幕直前の船橋招待大会決勝で東福岡高にゴール前の部分での差を見せつけられて2-7で大敗し、選手たちに迷いが生じてしまっていた。

 日本高校選抜の注目SBタビナス・ジェファーソン主将(3年)も「あそこから自分たちは上がらなかった」と認める。それでも「(プリンスリーグでここまで下位という)立ち位置に危機感があったと思います」と指揮官が説明したこの日はボールコントロール、パスワークに特長を持つ川崎Fを競り合い、球際の強さで上回る。立ち上がりには川崎FのMF村田聖樹(2年)の個人技からゴールを脅かされるシーンがあったが13分、カウンターから左サイドでボールを持った鳥海がオープンスペースへパス。これを受けてタメをつくったFW倉持快(2年)とスイッチした鳥海がエンドライン際からクロスを上げると、ボランチの位置から走りこんでいた田中が頭でゴールを破った。

 先制された川崎Fは球際での奮闘光るエースMF田中碧主将(3年)を中心にボールを前進させると、村田とSB川崎晶弘(3年)のコンビで左サイドから仕掛け、村田のスルーパスがPAのU-17日本代表FW宮代大聖(1年)へ通るシーンもあった。テンポよくボールを動かして桐光学園のマークを外す場面もあったが、タビナスが「チームにいいムードをつくってくれた」と感謝したDF田中拓実(3年)、そして鈴木監督も賞賛した推進力ある動きで注目FW宮代との1年生対決で得点を許さなかったDF望月駿介(1年)の両CBを中心とした桐光学園DF陣の集中力は高く、川崎Fは決定的なシュートを放つことができない。

 逆にタビナスの左クロスから倉持が右足ダイレクトボレーを撃ちこむなど2点目を狙う桐光学園は45分に相手ハンドでPKを獲得。だが、エース鳥海の右足シュートは川崎FのGK新居俊介(3年)が足でストップして1点差のまま前半を終える。絶好機を逃した桐光学園と、守護神のファインセーブによって1点差のまま踏みとどまった川崎F。ゲームの流れを大きく変えるようなビッグプレーだったが、15分間のハーフタイムを終えて後半開始からプッシュしたのは「守りに入るつもりはなかった。捨て身で入った」(タビナス)という桐光学園の方だった。

 後半開始わずか30秒、川崎F守備陣の状況判断が乱れ、小さくなったクリアが右中間に構えていた桐光学園MF西川の下へ。背番号7がすぐさま右足を振りぬくとファインショットがゴール左上を破り、2-0となった。畳み掛ける桐光学園はさらに3分、鳥海のスルーパスに走りこんだ倉持がPKを獲得。前半終了間際にPKを止められている鳥海がPKスポットへ向かうと「(PKが)もう1回あったら、自分で行ってぶち込んで来い!」という指揮官からのメッセージ通りに右足シュートを叩き込んで3点差とした。

 引かずに前に出てリードを広げた桐光学園に対し、今野章監督が「耐えながら1点差という中でゲームを進めていかないと。1点差であれば最後15分、20分でも返せるところがある。でも今はそれができていない。桐光さんのパワフルさ、圧力を全部受けちゃっていた。圧力を外せたときは結構チャンスになっていたと思う。そこがキーポイントだよというところで、きょうはほぼほぼやられてしまった」と分析した川崎F。止めて、蹴る技術レベルの高さも発揮していたが、勝負どころで突き放され、田中も「前半にもいいシーンというのはあったんですけど、後半の入りのところで相手が来る中で自分たちは集中できていなくてもったいなかった。はっきりできていればゲームのチャンスあったのかなと思います」と反省した。

 0-3となり全体的にテンションが落ちる中、右の藤井柾人(3年)、左の村田を起点に反撃したものの、後半12分の田中の右足シュートが195cmGK茂木秀(3年)の好守に阻まれたほか、随所で守備能力の高さを示した淡路昂宏(3年)とタビナスの両SBやカバーリング良くシュートをブロックしたMF桑原遥(3年)ら含めて堅い桐光学園のゴールを破ることができず。勝者はメンタル面に波があることが課題だった。だが、「(結果が出ず)正直、不安でした」(タビナス)という状況を乗り越え、最後まで4点目を目指してアグレッシブな攻守を見せた桐光学園が快勝を収め、6月の総体予選へ向けて弾みをつけた。

[写真]後半開始直後、桐光学園はMF西川が2点目のゴール

(取材・文 吉田太郎)
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