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2試合連続無失点で得た手応え F東京DF森重「やりたいサッカーとやらなければいけないサッカーは違う」

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[5.13 J1第1ステージ第12節 F東京 0-0 鳥栖 味スタ]

 昨シーズン年間4位だったFC東京は、第11節を終えて4勝1分け5敗で13位にとどまっている。第12節では、昨季までチームを率いていたマッシモ・フィッカデンティ監督の率いるサガン鳥栖と対戦。前節の湘南戦(○1-0)に続く勝利を目指したが、得点を挙げることができずにスコアレスドローで試合を終えた。

 ホームで16位の鳥栖に勝ち切れなかったが、DF森重真人は2試合連続で無失点だったことを前向きに捉える。湘南戦に続き、失点をゼロに抑えたことについて、「そこからスタートしないといけないチーム状況だったので。今日の試合は、まずはベースの部分を確認できたのかなと思います」と振り返った。

 今季、6年ぶりに城福浩監督を招聘したFC東京は、攻撃的な試合を展開することが求められていた。しかし、攻守のバランスをうまく取ることができずに第4節の鹿島戦(0-2)から第8節の福岡戦(0-1)まで、1勝1分け4敗という結果に終わった。前節の湘南戦からは、再び守備に注力していった中で、2試合で勝ち点4を上積みした。

「失点が少なくなれば、こういう風に結果は少しずつ付いてくると思います。自分たちが苦しんだ試合が多い中で、何が原因だったのかをはっきり分かっていました。そんなにすぐにチームが変わると思っていませんし、やはりこういうギリギリの戦いの中で勝ち点を取っていくことをやっていかないといけません」

 そう話す森重は、理想を現実にすることが簡単ではないと言葉を続ける。

「自分たちがやりたいサッカーだったり、目指しているサッカーだったりと、やらなければいけないサッカーは違います。FC東京として、結果を残していくことが、第一の目標だと思うので。そういう現実的なところを見ながらやっていかないといけないし、2年間でつくった土台の上に、今年、プラスアルファをつくっていくことは簡単ではないと見ている方もわかったと思いますし、自分たちも肌で感じています。常に土台の部分は大事だというのを感じながらやっている最中です。今日みたいな現実的なサッカーっていうのをベースにやっていかないと、いつまで経っても、いつものFC東京になってしまうと思います」

 とはいえ、攻撃と守備は表裏一体だ。昨季までの守備をベースにしながら、多種多様な攻撃を繰り広げようとすれば、ほころびも出てくるだろう。実際、昨季までは少なかった右SB徳永悠平の攻撃参加が、この試合では多く見られていた。

「何をもって土台ができた、その上をつくっていこうと言えるのか、はっきりわかりません。ただ、今日の試合や湘南戦のようなことをチームとして1年間を通してやっていかないといけない」と森重は話し、「プラスアルファのところは、個人個人のアイディアや技術になってくるかなと思います」と付け加えた。

 昨季、好成績を残しただけにスタイルの転換は困難を極める。シーズンの約3分の1にあたる12試合を終え、転換と回帰の間で揺れ動いているようにも映るチームは、この2試合でつかんだ手応えを今後につなげていけるだろうか。

(取材・文 河合拓)

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