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[関東]プランはまった明治大が二度リードも「勉強させてもらった」専修大が追いつきドロー

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[5.15 関東大学リーグ1部第7節 明治大2-2専修大 味スタ西]

 第90回関東大学1部リーグ第7節が15日に各地で行われた。味の素スタジアム西競技場の第2試合では2位・明治大と8位・専修大が対戦。明治大が二度リードを奪いながらも、専修大がその度に追いつき、2-2で引き分けた。勝てば首位浮上のチャンスだった明治大だが、勝ち点1を上乗せするに留まり2位のままとなっている。専修大は10位へ後退した。

 試合後、明治大の栗田大輔監督は「今日の結果は悔しさが残っていると思う。そこを乗り越えて、どうやって次の順天堂大戦を迎えるか」と勝利を逃した悔しさを露わに次戦を見据え、追いついた専修大の源平貴久監督は「いいゲームをさせてもらった。鍛えてもらい、勉強をさせてもらったと思う」と終始相手を称えた。

 開始2分、“プラン通り”に明治大が先制に成功。右サイドからドリブルで切れ込んでいったMF道渕諒平(4年=仙台ユース)のスルーパスにFW丹羽詩温(4年=大阪桐蔭高)が反応。相手守備陣の裏へ抜け、PA右から右足を振り抜く。「練習からやっている形。中にパスするかシュートをするか迷いましたけど、自分はFWなので思い切り振り抜きました」という一撃はゴールネットを揺らした。

 栗田監督が「攻撃時は相手の中間で受けたり、斜めに相手の背後へ切れ込んでいこうとトレーニングからやっていた。まさにそれがハマって、一点目は自分たちの理想の形」と称えたように、相手守備陣と中盤の間を起点に、裏へ抜け出す形で生まれた先制点。計算通りに明治大が先制に成功した。

 追いつきたい専修大は失点後、幾度もチャンスを迎えるもバイタルエリア手前でブロックされるとそこから先へ、ゴールまであと一歩が及ばない。前半15分にはPA左でDFをかわしたMF下田悠哉(2年=三菱養和SCユース)がGK服部一輝(4年=札幌大谷高)と1対1を迎えるも、相手守護神にクリアされた。

 同29分には右クロスからファーサイドのFW氣田亮真(1年=千葉U-18)が頭で合わせるがまたもGK服部に止められる。攻勢を強めながらも、得点を奪えずに体力を消耗。0-1で前半を折り返す。後半開始から専修大は3トップの左で先発していた氣田に代え、FW佐藤遵樹(4年=千葉U-18)を投入した。

 すると後半開始3分に専修大が同点弾。前半に好セーブを連発していた明治大GK服部が痛恨のミス。DF西村慧祐(1年=習志野高)の浮き球に対して、目測を誤ったか後方へ逸してしまう。これを拾った佐藤遵が無人のゴールへ右足シュートを決めた。1-1と試合は振り出しに戻る。
 
 その後も中盤での激しい攻防が続き、なかなかスコアは動かない。炎天下での一戦に選手たちの疲労の色も濃くなり、ファウルも増えていった。そして迎えた後半17分、明治大はFW岩田拓也(4年=FC東京U-18)に代わり、MF佐藤亮(1年=FC東京U-18)を投入する決断を下す。

「うちの2トップはハードワークするので、後半には疲れてくる。岩田の裏への抜け出しは専修に対応されていたので、中間でボールを受けることができる土居を前へ入れて。それだと2列目で受けられる選手がいたらと佐藤を投入することにしました。土居と佐藤でポジションを変えながら、(前へ)絡ませようというイメージ」と栗田監督が説明したように、佐藤亮は2列目左へ入り、2列目左で先発していた土居が1列前へポジションを上げ、丹羽と2トップを組んだ。これまで出場機会が限られていたルーキーにとっては、最多となる約30分を残す中でピッチへ送られることになった。

 すると佐藤亮が起用に応える。右サイドから仕掛けたMF柴戸海(3年=市立船橋高)のパスを受けた道渕がPA右からマイナスの折り返し。ゴール前左に待ち構えていた佐藤亮が右足シュートを決めた。ルーキーの大学リーグ初得点。2-1のゴールを決めたMFは飛び上がってガッツポーズ。一目散に応援スタンドの前へ駆け寄り、喜びを爆発させた。

 この得点で逃げ切りたかった明治大だが、専修大も諦めない。後半34分にはPKで同点弾。PA手前左で受けたFW柳育崇(4年=八千代高)がクロスを入れると、これが途中出場のDF岸本英陣(3年=帝京大可児高)の手に当たり、PKを獲得。MF野田卓宏(4年=大津高)がGK服部の逆を突く形でゴール右へ決めた。2-2と試合は振り出しに戻る。

 後半43分には途中出場した明治大FW木戸皓貴(3年=東福岡高)がドリブルで駆け上がり、PA左から豪快なシュートを狙うもGK蔦颯(3年=前橋育英高)の好セーブに泣く。終了間際のアディショナルタイム2分には専修大のMF大戸岬(4年=藤沢清流高)がミドルシュートを打つも枠外。2-2で試合は終了し、勝ち点1を分け合った。

 試合後、先制点を挙げた明治大の丹羽は「前節で勝っていたので連勝したかった。悔しい結果。ただただ悔しいだけ」と唇を噛んだ。勝利すれば今季3度目の首位浮上となっていただけに、二度追いつかれてのドローは悔やまれる。指揮官は「失点の仕方がもったいなかった」と指摘。「それをしょうがないで済ませてはいけない。そこに目を向けてやらないと勝ち試合を逃す。この教訓を活かしていかなければ」と表情を引き締めた。

 一方で専修大の源平監督は試合後には終始、明治大をリスペクトしつつ、決定機を多く作りながらもリードできなかった原因に「1年生の西村と氣田があまりにもヘタレだった。氣田がもっといい選手だったら結果ももっと違っていたかもしれない」と厳しく言及。

「明らかにこれまでの相手と明治大さんの個々のスピードや寄せが違ったので、二人とも面を食らっていた。高校生のときにはない厳しさがある試合でびっくりしているかなというのが正直なところ」と指摘し、「西村も早く代えようと思っていましたけど、後ろの選手は怪我以外で代えないというチームのコンセプトでやっているので悩んでいたら、アップアップでやられたところもあって(後半35分に代えた)。そんななかで2年生以上は頑張ってくれた」と話した。

 かつては関東大学リーグを4連覇するなど一時代を築いた専修大だが、昨季は8位と低迷。それでも今季はかつて見せていた攻撃力の片鱗は垣間見せており、直近4試合では9得点と攻撃面で結果は出している。

 指揮官は「(うちは)小さいけれど向こうの守備をかいくぐってゴールを決めていきたい。最近の試合でも決定機は作れているので、最後のところで工夫したり落ち着いたり、そこが出来れば、また攻撃の選手と呼ばれるようになる」と再び隆盛を極める日を見据えた。

(取材・文 片岡涼)

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