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「モリくん蹴ってよ」…2発のFC東京MF水沼、“ためらった”FKを直接突き刺す

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[5.17 ACLラウンド16第1戦 FC東京 2-1 上海上港 東京ス]

 一度は蹴るのをためらったようだ。序盤から主導権を握りながらも、なかなか上海上港ゴールをこじ開けられなかったFC東京は、前半43分にPAわずかに外でFKの好機を得る。MF水沼宏太はゴールまでの距離が近かったこともあり、DF森重真人に「モリくん、蹴ってよ」とキッカーを譲ろうとしたが、キャプテンから「お前が蹴れ」と指名を受けてボールに向かった。

 ゴール前には壁が築かれたが、「コースが見えたので思い切り蹴ろうと思った」と水沼は右足から低い弾道の強烈なシュートを放つ。ボールはチームメイトのMF高橋秀人に当たってコースが代わり、見事にゴールネットを揺らしてチームに先制点をもたらした。「感覚的にあそこに思い切り蹴れば入ると思った。当たりはしましたが入ればいいんです」と胸を張った。

 さらに同点に追い付かれて迎えた後半20分には決勝点を記録する。左サイドを駆け上がったDF徳永悠平がボールを受けると、「自分がクロスを上げる場面でも、ファーは相手がボールウォッチャーになると分かっていた」と迷わずファーサイドに走り込む。徳永が送ったクロスを、「思い切り振るというよりも当てにいく」と右足ダイレクトで鮮やかに合わせてゴールを陥れた。

 この試合、特に前半は相手を圧倒した。「入りから距離感も良くて、すごくプレーしやすかった。皆が動けていたし、自分たちのやりたいことができた」と満足気に振り返る。イメージを共有できていたからこそ、「勝たないともったいないと思っていたし、勝てて良かった」と白い歯を見せた。

 一週間後の24日には上海上港のホームに乗り込むことになる。「楽な試合ではないし、厳しい戦いになると思うけど、今日の試合ができればいいと思う」とクラブ初のベスト8進出へ意気込みを示した。

(取材・文 折戸岳彦)
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