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差別を理由に引退したゲイ告白の審判「私に続く人が出てくるだろう」

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 スペインで初めてゲイ(同性愛者)であることをカミングアウトしながらも、心ない差別を受けて引退した21歳の審判が現在の心境を語っている。英『BBC』が伝えた。

 同メディアによると、ヘスス・トミジェロ氏は4か月前、自身と彼氏の写真をSNS上にアップして「これが僕の幸せの始まりだ」とコメントを添え、ゲイであることをカミングアウト。「私は勇敢である必要がありました。そして『これが自分だ。ゲイであることをカミングアウトした最初の人間になる』と宣言する必要がね。誰に何を言われても気にするつもりはありません」とトミジェロ氏は振り返る。

「リーガ・エスパニョーラにもゲイの審判はいる」と話すトミジェロ氏。彼はスペインのマリアーノ・ラホイ・ブレイ首相や元レアル・マドリーのGKイケル・カシージャスからのサポートも受けているという。

 だが、ファンやクラブ、監督や選手たちからの理解は得られず、否定的な意見を持っている人も多かったようだ。トミジェロ氏は「クラブ側の反応は『見ろよ、ゲイの審判がいるぜ』という感じでした」と当時の苦悩を語った。

「サッカーの問題は、サッカーを『男らしい』スポーツだと考えていることです。しかし私の考えでは、ゲイでもトランスジェンダー(性同一性障害)でも、バイセクシャル(両性愛)でも誰でも同じように楽しむことができるスポーツなのです」

 サッカー界が抱える問題点を指摘するトミジェロ氏は「アンダルシアサッカー協会にはゲイ差別に対する新しいルールを作ってほしいと告げました。入場禁止処分や高額の罰金などです。毎試合毎試合、罵られたり恐怖に晒されたり、攻撃されたりする必要はないと考えています。本当に惨めな気持ちになりますから」と現状の改善を訴える。

「私が先陣を切りました。これに続く人はこれからも出てくるでしょう。もしそうなれば、自分にとっては名誉なことです」。トミジェロ氏の願いが届き、いつかサッカーから差別が完全になくなる日はやってくるだろうか。

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