beacon

プロ5年目で自身初のホーム戦、移籍後初先発の東京V・GK鈴木「ホームで勝つって気持ちいい」

このエントリーをはてなブックマークに追加
[5.22 J2第14節 東京V2-1清水 味スタ]

 プロ5年目にして、初めてホームゲームでゴールマウスを守った。そこでの勝利の味は格別だった。今季加入した東京ヴェルディのGK鈴木椋大が移籍後初先発。清水戦で最小失点に留めると2-1の10戦ぶり勝利に貢献した。

 今季に横浜F・マリノスから期限付き移籍してきた鈴木。プレシーズンから好プレーを見せていたが離脱。痛めた肩が治らずに、ベンチ外となる日々が続いていた。それでも前節・金沢戦(1-1)で初のベンチ入りを果たすと、この日の清水戦で先発起用された。

「ちょっとは(先発すると)分かっていましたけど」と予感はあったものの、正式に先発を告げられたのは清水戦当日のミーティングだったという。

 開幕からはGK柴崎貴広が正守護神の座につくなかでやってきたチャンス。「チームが勝っていない状況で、自分が入ったら流れを変えたいという思いだけでした」。強く誓って試合へ入った。

 迎えた清水戦ではキャッチングから素早いリリースで攻撃の起点ともなり、前線のMFドウグラス・ヴィエイラをめがけては正確なキックを届けた。守っては果敢な飛び出しからパンチングで弾いたほか、枠を捉えた相手のシュートは幾度も身体の正面でキャッチした。何てこと無いシュートを普通に止める。緊張から序盤は「固くなっていた」と言うが簡単なようで難しいことを、移籍後初先発でやり切った。

「自分もJ1でやっていたというプライドがある。それをヴェルディに還元できたらいいなと思っていて。今日は勝ててよかった」

 横浜FMユースから2012年にトップ昇格するも、なかなか出番はなく。2014年4月にJリーグU-22選抜の一員として、J3デビューした。2014年6月3日にはナビスコ杯のアウェー山形戦(2-0)にフル出場し、初めて横浜FMの公式戦でゴールマウスを守ったが、その後はプレーすることはなかった。そして出場機会を求めてレンタル移籍。東京Vへやってきた。

 横浜FMで唯一出場したナビスコ杯はアウェー開催だったことから、この日の試合が自身初のホームゲーム。5年越しでつかんだ晴れ舞台だった。勝利を手にした守護神は「プロとして初めてホームで試合に出ることができた。独特の空気でした」と言い、「ホームで勝つって気持ちいいなと思いました」と顔をほころばせた。

「自分が試合に出て、サポーターもみんなで喜びを分かち合うというのは何にも変えられないものだなと改めて感じました」

 この日の試合後の会見で冨樫剛一監督は「椋大に関しては、コンディションが整ってくればポジション争いができるとずっと思っていました」と言い、「(今日)ゲームに出て、ボールを取った後のファーストパスというところが非常にスムーズだったこと。落ち着いて周りにコーチングしながら、集中力が続いたことは本当に良かったと思います」と労った。

 初出場でチームの10戦ぶり勝利に貢献した守護神。「このエスパルス戦が自分にとっては開幕戦。一度勝っただけでは意味が無い。ここから連勝して、より強いチームになっていければ」と先を見据えた。

(取材・文 片岡涼)

TOP